日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

農薬工業会新会長に本田卓氏、「農業の生産性向上と持続性の両立へ貢献」

2021年5月25日

 農薬工業会は19日、第90回通常総会を開催し、2021年度事業計画を決定するとともに新たに役員の選任を行い、新会長に本田卓副会長(日産化学㈱取締役専務執行役員)が就任した。

 総会後、講演会・記者会見が都内で開かれ、本田会長は「世界の食用作物の20~40%が病害虫・雑草の被害により失われ、何億人もの人々が十分な食料を入手できずに苦しんでいる。当会は、SDGsとも関連付けて、農業への産業としての貢献を掲げたビジョン活動『JCPA VISION2025』を推進し、作物保護の重要性を周知することに努めている。2020年以降、世界的なコロナ禍の影響は、気候変動や病害虫などの既存の危機と相まって、世界中の食料不安の引き金を引いている。一方、日本では、食料不足という不満は生じていないが、食料自給率の改善が求められている。食料自給率の向上を図っていく中で、日本の農業現場では農業者の高齢化・後継者不足などの課題があり、農作業の省力化が必須となるため、新規剤とともにスマート農業等の新技術への期待が高まってきている。また、農水省は『みどりの食料システム戦略』を策定したが、当会は、本戦略の目指す技術イノベーションの創出に力を入れ、日本の農業の生産性向上と持続性の両立への貢献を果たしてまいりたい」と挨拶した。

 また、本田会長は会見の質疑で『みどりの食料システム戦略』への対応について再度説明、「当会としては(本戦略を)〝技術イノベーション戦略″と受け止めている。産業界は今までも農薬使用者や消費者、環境に安全で、確実に効果があり、それを簡単で使いやすいものを開発している。例えば1960年代では1haで㎏単位の農薬(を使用すること)が一般的だったが、現在は数十gになった。当会で計算したところ、過去の20年で成分の使用量も約20%削減されている。これまでも削減の方向に貢献してきたので、我々もその延長線上として、削減の方向性について賛同している」「(戦略で掲げられた)50%の削減は、農業者の方々が利用されることで初めて成し遂げられるものだ。当会会員は2005年に制定した行動規範のひとつ『環境保全への責任』に基づいて、より高性能な農薬の創生や、使用量削減につながる防除技術を開発していく」との見解を述べた。

※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載しております。

keyboard_arrow_left トップへ戻る