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JA福島さくら管内被災地の営農再開へ農林中金が助成

2021年3月29日

 農林中央金庫福島支店(望月大輔支店長)は、JA福島さくら管内の被災地(避難指示解除区域)で営農再開をする生産者を対象に、水稲作付け再開にかかる資機材(種籾・苗)購入費への支援を行った。

 26日贈呈式が開催され、135名分総額約12百万円がJA福島さくら(管野啓二組合長)へ助成された。農林中金の「営農再開支援」が活用されたもの。同JA管内には、原発事故により避難指示を受けた「ふたば地区」全域があり、風評問題による営農再開の意欲低下や住民帰還の遅れによる労働力不足が大きな課題となっている。

 農林中金ではこれまで、新しい農業の拡大や重労働軽減のため、同JAが取得する「タマネギの集出荷用機械」や「花卉予冷庫」の購入代金について助成。一方で、被災地でのコメ乾燥施設等の農業施設の整備が進み、基幹農業であったコメの作付面積も増加してきた。その中、被災生産者からは水稲作付け再開にかかる費用負担軽減の支援要望が多くあがっていた。同JA管内の避難指示解除地では、未だ住民帰還率が約28%、水田再開率は約22%に留まっているが、2021年以降は次々と農業施設稼働が計画されていることから、今後大幅な作付け再開が期待されている。

 管野組合長は、「東日本大震災から10年経ったものの、当JA管内には未だ避難指示されていない地域が多く残されている。今般の支援は、営農再開する被災生産者にとって大変励みになる。引き続き被災地に寄り添った対応を期待したい」と感謝の意を述べた。

農産物直売施設「あぐりあ」をオープン=JA福島さくら

 JA福島さくらは今月16日、新しく農産物直売施設「あぐりあ」をオープンした。郡山市安積町にオープンした同施設は、農産物を意味する「アグリカルチャープロダクト」と「巡り」、安積町の「あ」を組み合わせて『あぐりあ』と命名。新鮮な農産物が並ぶ直売スペースのほか、コミュニティスペースでは玄米をその場で精米・販売できる今摺り米コーナーや、自家焙煎のコーヒーやカカオ豆を取り扱うコーナーを設置している。レストランスペースには、地元産農畜産物を使用した料理の飲食やテイクアウトを提供(地元飲食店に業務委託)。多目的スペースには調理場を完備し、料理教室などを通じた食農教育ができるなど、地元の食を幅広くPRする。建物面積は直売施設としては県内最大級の1498㎡。

 同JAでは、「東日本大震災の発生から10年が経つが、JAでは復興をさらに加速化し、安全・安心な農産物を地元はもとより、広く福島へお越しの方々に味わっていただきたい」としている。

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