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農林中金が植物肉スタートアップのDAIZに出資

2021年3月26日

植物肉の普及を通じ国産大豆の生産・消費拡大へ

 農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は25日、発芽大豆由来の植物肉「ミラクルミート」を開発・製造するDAIZ㈱(熊本県熊本市、井出剛代表取締役社長)に対して、「F&A成長産業化出資枠」を通じた出資を行ったことを明らかにした。

 近年、世界的な人口増加に伴うタンパク質危機や環境問題への対応、エシカル消費意識や健康意識の高まりを背景に、植物由来の食品は国内外で注目を集めている。DAIZ社は、従来の搾油後の大豆ではなく、大豆そのものを発芽させた原料を使用した独自の製造技術により、栄養価が高く食肉に近い旨味・食感・香りを再現した大豆由来の植物肉を開発、その市場開拓・普及に取り組んでいる。

 農林中金では今回の出資について、「同社の取組みを通じて大豆由来の植物肉の市場が拡大することで、将来的な国産大豆の消費拡大や増産の実現、ひいては農業生産者の所得向上につながるものと考えている」「今回の出資を契機に、当金庫のネットワークに加え、同じJAグループの組織とも連携して、大豆由来の植物肉の国内における市場開拓および国産大豆由来の商品開発を進めていく予定」とコメントしている。

 また、今回の出資を通じて、農林水産業を取り巻くサステナビリティの課題である資源保護や飢餓撲滅等の環境・社会課題についても、同社と継続的な連携・対話を行い、「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」として課題解決に貢献していくと説明、「引き続き当金庫は、投融資を通じて環境・社会課題の解決に貢献し、SDGsの実現をはじめとするサステナブル経営を推進していく」としている。

 また、DAIZ社も同日、農林中金からの出資受け入れ、国産大豆の調達や市場開拓において協業することを発表した。

 同社の井出社長は「この提携により、両者はJAグループネットワークを活用した国産大豆の調達やそれを活用した商品開発・市場開拓や、『ミラクルミート』の海外輸出・市場開拓などの分野で協業することにより、農林水産業を取り巻く資源保護や飢餓撲滅等の環境・社会課題の解決を目指していく」とコメントしている。

※詳報は、日刊アグリ・リサーチに掲載いたしております。

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