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バイオマスリサーチ社、北海道信連、農林中金が連携協定を締結

2020年8月28日

酪農・畜産業のバイオガスプラントを普及、営農体系の確立を支援

 バイオマスリサーチ㈱(北海道帯広市、菊池貞雄代表取締役社長)、北海道信連(安友薫代表理事理事長)、農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は25日、「バイオガスプラントの普及にかかる連携協定」を締結した。酪農・畜産業へのバイオガスプラントの普及を図り、持続可能な営農体系の確立を支援し、農業所得向上や地域活性化に貢献することをねらいとしたもの。

 農水省が今年3月に策定した「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」には、乳製品の国内需要の高まりや国産利用率の引き上げを目途に、乳牛の頭数増加や乳量の拡大に取り組むこと、酪農家戸数の減少が続く中での持続可能な経営展開を確立することが謳われている。酪農・畜産業においては、人手が不足する中、ふん尿処理にかかる費用負担・労働力確保が課題になっており、牛の増頭時にはふん尿処理のキャパシティを確保できないことが経営拡大のボトルネックになっていること、ふん尿処理負担から後継者の確保が困難なこと、悪臭の問題などが指摘されている。連携協定では、バイオガスプラントの普及によりこれら課題の解決を目指す。

 バイオガスプラントの導入に向けた営農調査からプラント設計・管理までをワンストップで取り組んでいる【バイオマスリサーチ】、北海道農業のメインバンクとして地域のJAとともに農業課題に向き合っている【北海道信連】、食農のリーディングバンクとしてSDGsに取り組む企業や金融機関等との幅広いリレーションを有している【農林中央金庫】、の3者が連携することで、プラント導入を模索している地域を中心とした中で幅広い関係者の協力を得たプロジェクトチームの組成、事業性評価とファイナンスメニューの構築に取組み、バイオガスプラントの普及を推進する方針。その上で、ふん尿処理にかかる営農課題解決に加え、循環型で持続的な営農体系の確立支援、エネルギーの地域循環を通じた営農と地域社会への貢献を目指す。今後、北海道で個別事例を成功させ、将来的には全国展開も視野に取り組んでいくとしている。

 バイオガスプラントは、牛のふん尿等を処理する施設であり、農家のふん尿処理にかかる負担を軽減し、営農の課題を解決するだけでなく、ふん尿処理の過程で生ずる副産物は、肥料や敷料として営農に還流させることが可能で、ふん尿の悪臭を抑えて処理することで地域環境の課題解決にもつながる。さらに、プラントで生産されるバイオガスは再生可能エネルギーとして、農家の副収入となる等、地域に還元することが可能である一方で、プラント導入には「地域や営農の視点が欠如することによる現場ニーズと設備とのミスマッチ」「初期投資コストの大きさ」「プロジェクト関係者の多さによる調整負荷」等の課題がある。

※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載しています。

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