風評被害対策で、「呼称が定着するように徹底」と農相
農水省は12日、「豚コレラ」の呼称を「CSF(Classical Swine Fever=古典的な豚の熱病)」、アフリカ豚コレラも「ASF(African Swine Fever)」に変更すると発表した。江藤農相が同日の会見で明らかにした。
豚コレラの名称変更については、与党内からも変更を求める声が出ていた。農相は、現在用いている、豚コレラやアフリカ豚コレラという名称には、ヒトの疫病であるコレラを連想させるという意見があること、米国においても現在豚コレラの名称は使わず「CSF」としていることをあげ、「今回の名称の変更は、消費者にできる限り不要な不安や不信を招かないようするための措置である」と強調、牛豚等疾病小委員会の委員からも意見を聞いた上での「科学的知見に基づく合理的な判断である」とした。
また江藤農相は同日の衆議院農林水産委員会で、今後、豚コレラという表現は使用しないと言明、「言葉の力は大きい。『コレラ』というと人間にうつるというイメージが強いが、CSFは全く人体には影響を及ぼさないものである。このCSFという呼称が定着するように徹底する」と訴えた。また前日(11日)、ワクチンを接種した豚肉製品の出荷を控える群馬県食肉卸売市場(玉村町)の防疫体制等を確認するため視察したことに触れ、「豚を積んだトラックが入り、降ろして出るまでに合計で3か所で3回消毒する取組みを行っている。ワクチン接種豚と未接種豚を区分してコントロールされていた」と安全性を強調した。
同農水委員会で新井ゆたか消費・安全局長は、家畜伝染病予防法上での名称を変更するかについて「どのような名称が適切なのか専門家の意見を伺いながら考えていきたい」「(BSEのように)法律上では『BSE』と書いていないが、日本国内ではBSEで呼称が定着している。そういう点では必ずしも法律上の名称と呼称は一致している必要はない」との見解を示した。