日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

高知県に事業会社設立=清水建設と農林中金

2019年11月5日

「地域連携型農業」ビジネスに共同で着手

 清水建設㈱(井上和幸代表取締役社長)と農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は、共同で、地域連携型農業の事業化推進及び事業を通じた地域貢献を目的に、高知県において農業関係者が抱える課題解決に向けたソリューションビジネスを展開する「シミズ・アグリプラス㈱」を今月7日に設立する。

 同事業は、清水建設と農林中金、高知県の3者が、高知県の園芸農業の振興と雇用の拡大を目指して2017年7月に締結した連携協定に基づくもので、その第一弾となる。この協定は、産業界と農林水産業者の架け橋としての役割を担う農林中金が、生産者の所得向上を目指す取り組み推進の一環で、産地維持の課題を抱えている高知県での農業ビジネス参入を清水建設に提案していた。

 現在、日本の農業は、就農者の高齢化、減少に起因する耕作面積や収穫量の減少、耕作放棄地の拡大という大きな問題に直面している。全国屈指の農業県である高知県も例外ではなく、連携協定は、こうした背景を踏まえ、企業の各種ノウハウを活かして農業経営の支援に取り組むべく締結したもの。3者は協定締結後、農林中金のネットワークを活かし、高知県のJA・生産者と意見交換を重ね、新たな農業手法の事業化についての検討を進めてきた結果、事業の第一弾として、関係者から要望が最も多かったニラの出荷調整作業を機械化し、事業化することにした。高知県のニラの出荷量は日本一で、国内全体の4分の1程度を占めている。その一方で、出荷前に不要な外葉を取り除き(そぐり)、計量・結束をする出荷調整作業の負担が大きく、高齢化も相まって作業従事者の減少により産地維持が難しくなっていた。

 事業化に先立ち、清水建設と高知県のJAが中心となり、2018年7月からそぐり作業の機械化に関する実証試験を継続実施し、今年7月までに事業化の目途がついたことから、農林中金と協議し、「シミズ・アグリプラス」の設立を決定した。計画では、2020年4月にも、JA高知県の香美営農経済センター内に4ラインからなる「そぐりセンター」を設置、出荷調整事業を開始する。処理量は、初年度200t、以後は年間270~280tを予定している。

 今後、「シミズ・アグリプラス」は、高知県内において出荷調整をはじめ各種農作業の課題解決に寄与する事業の拡大を目指すと共に、自社圃場による地元特産品の生産運営についても検討を進めていく考え。

シミズ・アグリプラス㈱の概要
所在地:高知県香南市野市町大谷26
社長:神成篤司
事業内容:農産品の出荷調整受託事業、農産品の生産・
     販売等の農業関連事業
資本金:5,000万円(清水建設95%、農林中金5%)

keyboard_arrow_left トップへ戻る