土地利用型農業等の展開とともに、現地に営農再開推進チーム設置
農水省は3日、福島県の農林水産業の復旧・復興に向け、現地に「営農再開推進チーム」の設置など人的体制の強化を行っていく方針であることを発表した。同省は、福島県の農林水産業の将来を見据えた復旧・復興に向けた取組について3月以降、省内で検討を行うとともに、福島県やJA福島中央会、被災12市町村長とも意見交換を実施し、共同で取りまとめてきた。
この内、農業については、最先端の技術を活用し、大規模で労働生産性の著しく高い農業経営(土地利用型農業、管理型農業)を展開するとともに、現地に営農再開推進チームの設置など、人的体制の強化等を推進する。林業については、放射性物質の影響を受けた森林・林業の再生、特用林産物の生産の再開・継続に取り組む。水産業では、本格操業が可能となる状態に向け、風評被害払拭及び生産・流通体制を構築する。 特に、農業分野の営農再開推進チームについては、町、JA、福島相双復興推進機構、県が連携してまとまった農地の営農再開支援を実施している楢葉町の取組を参考に、地域密着型のチームを編成し、市町村の営農再開を推進。そのために関係機関において必要な人的体制を強化する。具体的には、農水省、福島県、市町村農業担当職員、JA(福島さくら、ふくしま未来)、農地利用最適化推進委員により構成される「市町村担当チーム」を設置、担当職員を配置し、営農再開のビジョン作りから具体化までを推進する。また、農水省、福島県農林事務所、JA、福島相双復興推進機構により構成される「サポートチーム」により、必要に応じたオンサイトサポートを実施する。これらのチームによる営農再開加速化のため、農水省は市町村に常駐職員を派遣するとともに、オンサイトサポートを円滑に行えるよう、課題に応じ、対応できる人員を配置。市町村幹部や本省・局との連絡調整等を担うことで営農再開に向けた取組を支援する。
「人的支援は極めて重要、一日も早い営農再開を」と農相
同日、川貴盛農相は定例会見で、福島県の農林水産業の復旧・復興について、「(大臣就任後の福島県や東北地方への視察で)東日本大震災からの復旧・復興は着実に進展はしているが、福島県の農林水産業については、大きな課題があると感じている。このため、福島県については、中長期的な復興・創生に向けたしっかりとしたビジョンが必要と考え、3月から事務次官のもとでの検討を指示した」などと経緯と中身について説明、「農水省としては、4月から原子力被災12市町村に人的支援を行い、地域における広域ビジョンの策定を進め、地域の営農再開に取り組んでいく」と語った。また、農業分野における人的支援については「各市町村の皆さんから、農水省や現地で話を伺ったときに、営農を再開していくためには、担い手も不足していることから、人的支援の要請が非常に強くあった」「人的支援は極めて重要な部分だ。福島県の農業を営んでいる皆さんに寄り添った形で様々な情報提供を行いながら、一日も早く営農再開ができることを目指すのが望ましい」と述べた。