農水省は6月30日、「植物防疫の在り方に関する検討会」を開催した。同省からは植物防疫に関わって、病害虫が発生しにくい生産条件の整備をベースとした総合的病害虫管理の推進など、中間論点整理案が示された。「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、農業生産の持続性を確保していくためには、病害虫の発生予防・駆除・まん延防止措置等の植物検疫措置の強化に取り組むことで病害虫による被害を防止することが喫緊の課題であるとして、同省は今年3月、有識者からなる同検討会を設置、現行の植物防疫の課題等を点検し、今後の在り方を検討してきたもの。
論点整理案では、「植物防疫をめぐる状況の変化と課題」とともに、「国内防除をめぐる今後の対応方向」「輸入検疫をめぐる今後の対応方向」「輸出検疫をめぐる今後の対応方向」「植物防疫に関する理解の醸成」の4項目の今後の方向性を示している。このうち、国内防除に関わっては、「病害虫が発生しにくい生産条件の整備をベースとした総合的病害虫管理の推進」として、中長期的な視点で、雑草を含む病害虫による被害を軽減していくためには、予防的な取組の強化が必要であるとし、さらに、薬剤抵抗性が発達し、防除が困難な事例が出現している現状下、農業生産の持続性の観点から、▼病害虫が発生しにくい生産条件の整備(土づくり、健全な種苗の使用等)をベースとして、▼環境負荷の低減にも資する防除資材の選択(防虫ネットや抵抗性品種の活用等)、▼環境負荷の低減にも資する使用方法の選択(飛散しにくい散布ノズルの活用、発生予察に基づく適時防除等)、の3つの柱を適切に組み合わせた総合的病害虫管理の取組の推進が必要とした。また、推進にあたっては、基本的な方向性を国が示した上で、各都道府県段階で地域に応じた取組方針を明確化し、これに基づいて農業者が具体的な取組を実践、関係者がこれをサポートするなど実効性のある仕組みづくりの検討が必要と強調。このほか、省力・軽量化に資する技術開発、現場での実証、防除効果や生産性等に関するデータの提供等により、農業者が総合的病害虫管理に取り組みやすい環境整備を進めることが必要であることと、併せて、新しい技術の社会実装を推進する仕組みや防除サービスを担う事業体の育成等についても検討の必要性を訴えている。