菅新内閣が発足した16日、退任した江藤拓前農林水産大臣は農水省で記者会見を開き、令和元年台風第19号等への対応、豚熱(CSF)ワクチン接種の実施、和牛遺伝資源の保護強化に向けた法案の成立、新基本計画の策定など1年間の在任期間中での取組みについて「様々な課題に果敢に取り組んだ。自分としては出せる力を精一杯出させていただいた」と振り返るとともに、今後の農政への期待を語った。会見の発言概要は以下の通り。
●…食料・農業・農村基本計画が新たに策定された。中山間地域の振興や規模の大小にかかわらず農業基盤の強化、食料自給率の向上など国民生活に寄与するという内容をしっかりと書き込むことができた。これからの農政も基本計画に沿って進めていただけるものと信じている。これからの5年間の農政の大きな方針を示す新基本計画は、中小規模の農業経営者の皆さんが日本農業の屋台骨を支えてくれているということをしっかりと内閣の中でもご理解をいただいた上で計画を策定できたことは大変よかったと思っている。
●…これから党に戻り、農政のことはしっかり取り組む。新たな菅内閣の下で現場がより良くなるように、それによって農業に対する魅力が高まり、担い手が集まり、農業の生産基盤がしっかり担保され、食料自給率も向上し、その結果として海外に日本の美味しい農林水産物・加工品の輸出が増え、国としての輸出戦略が成功することを心から願う。私も党にあって力を貸していきたい。
●…豚熱が非常に猛威を奮っていたが、ワクチンの接種については党内でも反対意見は強かった。役所としても飼養衛生管理基準をしっかり守ることでまん延防止を図るという方針できたが、ここでいきなり新しい大臣が来て『ワクチン接種を』と言われても、行政として『はい、分かりました』とはならない。党内の根回しも大変だったし、役所の理解を得るのも大変だった。末松広行・前事務次官が私を助けてくれ感謝している。
●…私の地元・宮崎は和牛生産県だ。和牛の遺伝子・精子・受精卵が海外に出てしまうことは、日本の強み・魅力を奪われてしまう。先人の努力がただ乗りされてしまうという危機的な状態にあった。党でも活発なご議論をいただき、様々なエビデンスの蓄積をしていただいた結果、「家畜遺伝資源不正競争防止法」を成立させることができた。自分が長年政治家としてやってきたことは、自分が大臣になることで結実した。たまたまタイミングがよかったと言われればそれまでかもしれないが、自分としてはよかったと思っている。
●…(次の農林水産大臣には)基本計画をしっかりと踏襲していただきながら、新しい大臣としてのカラーもしっかり出して、若い発想で新たな農政を展開していただければということを期待している。
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