令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会
第5回JA営農・経済フォーラム(西日本地区 2019年8月27~28日)
JAの実践事例報告より
参事 西村俊夫 氏
営農企画関連を集約、経営支援機能を強化
管内の農業と農家の現状と課題を踏まえ、ハード、ソフト両面からの施策に取り組んだ。ハード面では、農家ニーズにワンストップで対応できる体制の整備に向けて、営農企画業務を担う専任部署として平成30年、「農家営農支援センター」を設置。参事直轄で迅速かつ効率的に部門横断的な事業展開が図れる体制とした。支援センターは、センター長、課長・営農企画担当、4名の総合渉外担当(TAG)、担い手・法人担当1名、青色申告担当6名で構成している。
ソフト面では、農家の経営支援機能の強化に向け、まず農家の「声」を収集する活動を実施。各支所にTAGを配置し、大規模農家や農業法人を中心に訪問活動を展開した。その農家の「声」をJA内部の各会議で共有化し対策を検討した。大規模農家・法人担当は、労働力に応じた閑散期の品目組み合わせの提案や、経営面での支援強化、集落営農や法人設立支援等を行っている。行政と連携した担い手確保・育成対策も強化している。農家経営支援事業による農家経営の高度化支援では、生産・販売データを活用した生産販売カウンセリングの促進、青色申告会による記帳代行とともに税務支援から一歩進んだ経営カウンセリングを促進している。
支援センター設置から1年、専業をめざす兼業農家の相談に対応し規模拡大品目を提案。必要な土地の確保を支援し次期作から専業化が実現した。若手で地域を守る仕組みをつくってほしいとの要望に対しては、集落営農組織の設立を支援し受託者19名の組織がスタートした。TAGによる巡回訪問件数は30年度1649件。92名の組合員が個別カウンセリングにより経営改善を図った。30年の記帳代行は355件。1法人の設立を支援した。担い手との関係性が強化され、支援センターに対する組合員の期待感も向上している。
今後は、販売面で幅広い知識をもった担当者の育成、土壌診断や経営分析による収量引上等、より高度な経営カウンセリングの実践、軽量品目の提案等、零細・高齢農家への支援、労働力確保に向けた雇用対策、青色申告会の会員拡大、連携強化、節税対策等の事業を展開していきたい。
(日本農民新聞 2019年9月25日号掲載)