令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会
第5回JA営農・経済フォーラム(東日本地区 2019年8月29~30日)
JAの実践事例報告より
代表理事常務 渋谷佐一 氏
経済部次長 佐藤弘毅 氏
組合員にJAのあるべき姿を諮問
当JAの販売額は米が約100億円、園芸約20億円、畜産約20億円。米は直販を平成8年に始め、現在は6割強が直販となっている。農業生産法人は30年度までに45法人が立ち上がり管内面積の3分の1を占める。
10年20年先に向けどうあるべきかを検討するため、27年9月に理事会諮問機関「庄内みどりの未来を考える会」を設置。組合員13名(稲作大規模経営、園芸、畜産、女性部・青年部員、担い手)、役員、コーディネーターの計21名が1年検討し、協同組合理念がJAの最大の武器であり重視すべきとの答申を得て、「再生産できる農業、未来へ続く農業」をめざし目的別にプロジェクトを立ち上げ改革を進めてきた。
答申、中期経営計画ともに重視している「農家手取り最大化」については、全農のモデル55JAの一つとして27年度から取り組んできた。その主な成果を報告する。
肥料事業では、取扱17銘柄のJA取扱数量のうち約半分が集中購買銘柄5銘柄となり、低コスト資材の水平展開を図ることができた。
大型規格農薬の担い手直送規格品は、1000haを上回る取扱実績となった。
農業機械格納整備事業は、農機の格納整備受入れ台数が倉庫取得前の約2倍に増加し組合員から好評を得るとともに、安定した整備台数の確保ができた。
園芸生産拡大事業では、対象品目(ミニトマト、アスパラガス、パプリカ、シャインマスカット等)の作付面積が順調に拡大し、複合経営化が進み農家の手取り向上につながりつつある。
長ねぎ生産拡大事業により、日々安定した数量を市場へ出荷することが可能となり、値決販売による安定した販売価格を実現できた。
農家手取り最大化に向けたモデル経営体となっている農事組合法人ファーム北平田は、450haという大規模経営で米、大豆、長ねぎに加えハウストマト等の施設園芸も展開。共同作業による農業施設や農業機械の有効活用、密苗導入による資材コスト削減・労働力低減・作業分散化の検証、高収益作物を取り入れた園芸事業拡大にシフトしていく複合経営等に取り組んでいる。
(日本農民新聞 2019年9月25日号掲載)