産地の維持・拡大へ、スマート農業技術の研究開発・導入
四国電力㈱(香川県高松市、長井啓介社長)と農林中央金庫(奥和登理事長)は、四国の基幹産業である農業の活性化に向けた新たな事業を行うため、農業法人「Aitosa(アイトサ)㈱」(高知県南国市)を今年11月2日に設立する。
新会社は、「スマート農業」に着目し、南国市に栽培用ハウスを建設したうえで、地元の主要産品である「シシトウ」の生産(養液栽培)を通じて、産地の維持・拡大に貢献するとともに、生産現場の省力化に資するスマート農業技術の研究開発・導入に取り組む。
具体的には、作業負担の大きい農薬散布と収穫作業の省力化を図るため、農業ベンチャー「銀座農園㈱」と共同で、AIによる画像認識技術の構築と、農薬散布および収穫用ロボットの実用化に取り組む。資本金は2500万円。出資比率は四国電力95%、農林中金5%。今後は法人設立後、2021年2月に1号棟(約3700㎡)の栽培施設を建設、同年8月から定植・栽培、10月から出荷を開始する。23年2月に2号棟(約4000㎡)の栽培施設を建設、8月から定植・栽培、10月から出荷開始する予定。
また、高知県のIoPプロジェクト(*)と連携し、ハウス内の環境データや植物の生体データに基づく効率的な栽培手法の確立を目指すとともに、将来的には、ここで得たスマート農業技術の知見・ノウハウを地域に水平展開することで、新規就農者の増加や既存農家の経営効率化を図り、産地の維持・拡大に繋げる方針。
なお、新会社の設立に先立ち、10月23日、高知県、南国市、JA高知県との間で、企業進出協定書を締結、今後、地元の自治体や関係機関、生産者と連携しながら、同事業を推進していくとしている。
*IoPプロジェクト…(IoP〝Internet of Plants〟が導くNext次世代型施設園芸農業への進化プロジェクト)は高知県が優位性を持つ施設園芸分野において日本全国・世界中から研究者・学生・企業が集積する産業集積群を作り、最新の施設園芸関連機器、AI・IoT技術を広く農業関係者に普及させることで、農家所得の向上や産地のブランド化につなげる産官学連携プロジェクト。