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JAバンク、JFマリンバンク、農林中金が郵政民営化委に意見提出

2020年9月4日

 JAバンク、JFマリンバンク、農林中央金庫は、今年7月30日付で郵政民営化委員会よりなされた意見募集に対し、意見を提出した。

 郵政民営化委員会では、3年ごとに郵政民営化の進捗状況について総合的な検証を行っているが、今後同委員会の意見を取りまとめる際の参考とするため、「これまでの郵政民営化に対する評価」「今後の郵政民営化への期待」等について、7月31日から9月2日にかけて意見を募集していたもの。

 JAバンク、JFマリンバンク、農林中金が提出した意見は以下の通り。

1 これまでの郵政民営化に対する評価
 JAバンク・JFマリンバンクはかねてより、郵政民営化の本来の目的は、国際的に類を見ない規模に肥大化した郵貯事業を段階的に縮小し、将来的な国民負担の発生懸念を減ずるとともに、民間市場への資金還流を通じて、国民経済の健全な発展を促すことに他ならないと主張してまいりました。また、その過程においては、改正郵政民営化法の基本理念に掲げられているとおり、郵政民営化が地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じることが不可欠であると申しあげてきました。
 (1)金融2社の株式売却について…平成24年10月施行の改正郵政民営化法の附帯決議では、日本郵政が保有する金融2社の株式のできる限り早期の全株処分に向けて、日本郵政に具体的な説明責任を果たすよう努めることが求められていますが、民間金融機関との間での公正な競争条件の確保の方法を含め、その道筋は依然として示されていないものと認識しています。
 (2)ゆうちょ銀行の貯金預入限度額の引上げについて…平成31年4月には、ゆうちょ銀行の通常貯金と定期性貯金の預入限度額がそれぞれ1300万円に引き上げられています。30年12月に公表された「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」では、日本郵政グループおよび政府に対して①貯金獲得に係るインセンティブを他の評価項目への振替等により撤廃すること、②将来の見直しについては、グループのバランスシートの抑制と戦略的活用を含めた日本郵政のビジネスモデルを再構築し、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株を3分の2未満となるまで売却することを条件に、通常貯金の限度額について検討すること、とされています。これらは、意図せざる資金シフト等が生じた場合に地域の金融システムへ多大な悪影響が生じることへの恐れ、預入限度額の引上げによりゆうちょ銀行の規模拡大に繋がった場合の将来的な国民負担の発生等といった懸念を一定程度理解いただいた結果と認識しています。しかしながら、前回の預入限度額規制の緩和にあたり、貯金獲得に係るインセンティブを他の評価項目への振替等により撤廃するという条件は、今なお実現していない状況にあると認識しています。
 (3)ゆうちょ銀行の口座貸越による貸付業務への参入について…平成29年6月、ゆうちょ銀行の口座貸越による貸付業務等の新規業務への参入について郵政民営化法の規定にもとづく認可が行われました。貴委員会は、29年6月に公表した「株式会社ゆうちょ銀行の新規業務(口座貸越による貸付業務、資産運用関係業務及びその他の銀行業に付随する業務等)に関する郵政民営化委員会の意見」において、業務を実施する場合の留意事項として、業務遂行能力・業務運営態勢の実効性の的確な確保と、口座貸越による貸付業務については利用者への分かりやすく丁寧な説明、利用者の適正な利用のサポート、必要な注意喚起を行う態勢の十分な確保が必要である旨を指摘しています。口座貸越による貸付業務は未だサービス提供が開始されていないと理解していますが、ゆうちょ銀行においてはこれらの留意事項への対応とその情報開示を十分に行っていく必要があると認識しています。

2 今後の郵政民営化への期待
 改正郵政民営化法では、その基本理念において、「多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上」とともに、「地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ」、「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ」ることが掲げられており、この理念を踏まえた郵政民営化の審議・検討が不可欠であると認識しています。そのうえで、改正郵政民営化法の附帯決議で定められたゆうちょ銀行を含む金融2社の全株式売却に向けての具体的な説明責任を日本郵政が果たされることを期待いたします。
 また、新規業務の参入には、完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要と考えられます。そのうえで、個別業務ごとの参入は、改正郵政民営化法の基本理念に照らして総合的に検討し、可否が判断されるべきと考えられます。また、その前提として、新規業務のみならず、既存業務も含めて顧客本位の業務運営が徹底されるための十分な体制整備が必要と認識しています。
 加えて、預入限度額について、まずは「貯金獲得に係るインセンティブを他の評価項目への振替等により撤廃すること」については、その速やかな実施と、郵政民営化委員会や関係当局における厳格な検証が行われることが求められると考えられます。そのうえで、将来、仮に更なる預入限度額の見直しを議論する場合は、「同意見」において日本郵政グループおよび政府に対して求められている、「グループのバランスシートの抑制と戦略的活用を含めた日本郵政のビジネスモデルを再構築し、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株を3分の2未満となるまで売却すること」が最低限順守すべき条件であると認識しています。
 一方で、コロナ禍の経験を踏まえると、オンライン、非対面等の新しい生活様式の模索等の社会的課題解決という観点から協業・協働できる領域は拡大しており、お互いの強みを活かした相互補完が可能と認識しています。特に、JAバンク・JFマリンバンクは日本全国の農山漁村に広く店舗を展開しており、農業者や漁業者等への金融サービスの提供を通じて、わが国の農林水産業や地域社会・経済を支えております。このため、全国ネットワークを通じて各地域で幅広いサービスを提供している郵便局とは、農林水産業の成長産業化や地域社会の維持・発展に向け、連携・協調できる部分が存在すると考えております。
 こうした連携・協調が実を結ぶには、ゆうちょ銀行とわたくしども民間金融機関が公正な競争条件の下で共存し、安定した地域の金融システムを維持することを通じて、地方経済・地域社会を発展させていくことが重要と認識しております。
 貴委員会および関係当局におかれては、郵政民営化法の基本理念に則り、適正な審議・検討のもとで郵政民営化を適切に進めていただくことを強く希望いたします。

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