日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

政府が総額31・9兆円、農水関係658億円の2次補正閣議決定

2020年5月29日

新規に「経営継続補助金」200億円、「肉用子牛生産の奨励金」計上

 政府は27日、総額31兆9114億円となる令和2年度第2次補正予算案閣議決定した。このうち農林水産関係は総額658億円となる。

 2次補正では、新規に「農林漁業の経営継続のための措置」を行い、「経営継続補助金」(200億円)で新型コロナウイルス感染症拡大防止対策、農林漁業者の経営の継続に向けた取組を支援する。また、「肉用子牛生産の奨励金」(ALIC事業108億円)では、繁殖農家の経営意欲を維持するよう、子牛販売頭数に応じた奨励金を交付する。このほか、「農林漁業者等の資金繰り対策の強化」で1次補正の積増しを行うとともに、「高収益作物次期作支援交付金」等の運用改善を行った。 農水省によれば、総理指示の5本柱(雇用調整助成金、家賃、学生支援、医療体制支援交付金、金融機能強化)のほか、地方創生臨時交付金、予備費を中心に措置しており、1次補正予算の執行に全力を挙げ、執行状況に応じて予備費から手当するとしている。

 具体的な内容は以下のとおり。

〈農林漁業の経営継続のための措置(新規事項)〉
 ①経営継続補助金(200億円)…新型コロナウイルス感染症の影響を克服するため感染拡大防止対策とともに農林漁業者の経営の継続に向けた取組を行う場合の経費を支援。▼省力化機械の導入など生産・販売方式の転換に必要な経費(補助率3/4、上限100万円)、▼上記の取組に加え、業種別ガイドライン等に即した消毒、換気設備等の感染防止対策(定額、上限50万円)
 ②肉用子牛生産の奨励金(ALIC事業108億円)…肉用子牛価格が下落する中、繁殖農家の経営意欲を維持するよう、肉用子牛の全国平均価格が一定の水準を下回った場合、畜舎環境の改善、子牛の疾病の防止等に取り組む生産者に対し、子牛販売頭数に応じた奨励金を交付。子牛(黒毛和種)の月ごとの全国平均価格に応じて、「60万円を下回った場合、1万円/頭」「57万円を下回った場合、3万円/頭」等、を交付。

〈農林漁業者等の資金繰り対策の強化(1次補正の積増し)〉
 ①経営維持・再建のための資金繰り対策の強化(349億円)…農林漁業者等の資金繰りに支障が生じないよう、農林漁業セーフティネット資金等の実質無利子化・無担保化での融資枠を拡大(追加融資枠3725億円)、農林漁業セーフティネット資金として、更に融資を受けやすくするための農林漁業者向けの劣後ローンを措置。

〈1次補正等の運用改善等〉
 ①高収益作物次期作支援交付金…新型コロナウイルスにより特に影響を受けた花き・茶等の生産現場の実情に合わせて、「高集約型経営である施設園芸の交付単価の引上げ(5万円/10a→花き等80万円、果樹25万円)」「花き・茶等の高品質なものを厳選して出荷する取組の支援(2・2千円/人・日)」を追加。
 ②酒造好適米の保管・供給支援(2年度当初:米穀周年供給・需要拡大支援事業、水田活用の直接支払交付金)…国内外における日本酒需要の減退の状況を踏まえ、「酒造好適米の保管経費の支援(1・3万t分)」「輸出用日本酒向け酒造好適米を新市場開拓用米(2万円/10a)」の対象に追加。
 ③原木保管等事業…国内の住宅着工の低迷等の状況を踏まえ、輸出向け以外の原木も支援対象に追加し、保管料、運搬料等を支援。
 ④林業の雇用維持のための保育間伐(2年度当初:林業・木材産業成長産業化促進対策)…林業の雇用を維持し、防災の観点からも森林を適切に管理するため、植林、地拵え、下刈り、保育間伐等の定額支援を追加(最大1・5万円/人・日)。
 ⑤フードバンクへの未利用食品の提供(元年度予備費:未利用食品活用促進事業)…休業等により発生する未利用食品の有効活用のため、フードバンクの運搬用車両や倉庫の賃借料を支援対象に追加。
 ⑥特定水産物供給平準化事業…保管期間の長期化を踏まえ、保管料、運搬料等の経費に対する補助率を引上げ(1/2→2/3)。
 ⑦休漁中の漁業者対策(基金:新資源管理導入円滑化等推進事業)…休漁を余儀なくされている漁業者が行う資源や漁場の保全活動の支援を追加。「漁船による漁場の耕うん・清掃(6万円程度/隻)」「藻場におけるウニ駆除等(1万円程度/人・日)」「資源調査(6万円程度/隻)」等。

 このほか、労働力確保、外食支援、積立ぷらす等、1次補正で措置された事業は、執行状況に応じて予備費を手当する。

keyboard_arrow_left トップへ戻る