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「コロナ禍で劇的な悪化を見せる内外経済」=農中総研経済見通し

2020年5月26日

20年度は▲5%成長と2年連続のマイナス、21年度は2・7%成長

 ㈱農林中金総合研究所はこのほど、「2020~21年度経済見通し」を公表した。20年度の実質成長率は前回〔3月〕予測から大きく下方修正し、▲5・0%、21年度は2・7%と予測した。日本経済・物価の見通し(総論)では以下のような見解を示している。
 「2020年度は▲5・0%成長と2年連続のマイナス、21年度は2・7%成長と鈍いリバウンド。足元4~6月期は、新型コロナに伴う経済活動停止の影響が本格的に出ることから、前期比年率▲19・2%と、3四半期連続かつ未曽有のマイナス成長が見込まれる」「7~9月期以降は主要国での感染拡大が概ね収束に向かうとの前提の下、経済が再稼働し始めるほか、これまでの政策効果などによって景気は回復に向かうが、感染再拡大などを防ぐために各種の制限は段階的な解除となる見込みであり、年度内の回復ペースは緩慢と想定(特に、21年1~3月期は感染再拡大の防止のため、経済活動が再び抑制される可能性も)」「その後、21年度にかけて世界全体で持ち直しの動きが継続、さらに延期された東京オリンピック、パラリンピック(五輪パラ)の開催もあり、夏場にかけて成長ペースが一旦加速(五輪パラ後は一旦調整するものの、成長経路に回帰する動き自体は継続。ただし、直近ピークの19年7~9月期の実質GDP水準の回復は22年度以降に持ち越し)」。

 また、民間消費、企業設備投資、輸出入動向、雇用情勢、物価動向について以下のように分析・見通している。

【民間消費】消費税率引上げの影響や暖冬などによって民間消費の持ち直しテンポはそもそも鈍かったが、新型コロナの感染拡大に伴う自粛ムードにより、消費活動は大幅に抑制されている(特に、「不要不急」とされた分野の消費が落ち込んだ)。消費マインドも大幅に悪化しており、消費性向(家計調査、勤労者世帯)も63・0%と統計開始以来の最低水準。4月の乗用車販売台数は前年比▲30・4%と7か月連続のマイナス。20年春闘は前年を下回った可能性が高いほか、夏季賞与も厳しい結果が見込まれるなど、家計の所得環境は厳しくなっているほか、「新しい生活様式」を心掛けることを前提にすると、コロナ収束後に消費が急回復するのは困難と思われる。民間最終消費支出は、20年度:前年度比▲4・5%(4~6月期:同▲5・0%)、21年度:同3・2%と予測。

【企業設備投資】入手可能な20年度設備投資計画には新型コロナの影響がまだ反映されていない(日銀短観3月調査、全産業+金融機関、ソフトウェア・研究開発を含む、土地投資額を除くベース:前年度比1・3%〔19年3月調査では同0・7%〕と、年度入り前の調査としては底堅い)。しかし、損益分岐点を上回るほどの売上の激減に直面、資金繰りが厳しくなった企業では設備投資を見送る動きが強まったとみられる。中長期的に見れば人手不足が継続することから省力化・省人化ニーズは潜在的に高いとみられるが、コロナ後の回復ペースはしばらく緩慢と思われ、当面は弱い動きが想定される。20年度:前年度比▲10・3%(2年連続の減少)、21年度:同3・3%と予測。

【輸出入動向】年初にかけて世界貿易の持ち直しに伴い、輸出に回復の兆しも見られたが、新型コロナの影響で海外経済が大きく悪化し、輸出は再び減少傾向を強めた(財別の輸出動向をみると、資本財・部品、自動車関連は弱いものの、情報関連の持ち直しは継続)。20年度の輸出は、年度上期に新型コロナの影響が出ることから前年度比▲15・5%と大幅減、21年度は同6・9%の増加ながらも、前年度の落ち込みからの戻りは鈍い。また、国内需要も落ち込んだことから20年度の輸入は同▲8・8%と2年連続の減少、21年度は6・0%へ回復。20年度の経常収支は15・3兆円(黒字幅は19年度〔19・8兆円〕から縮小)、21年度は19・4兆円の黒字と予測。

【雇用情勢】代表的な雇用関連指標は悪化が明確に(有効求人数は前年割れが続いているほか、失業率も緩やかながら高まってきた。労働投入量〔=総労働時間×常用雇用者数〕も頭打ち気味)。家計の所得環境に厳しさも(時間当たり賃金は上昇傾向にあるものの、「働き方改革」推進や足元の景気悪化による労働時間減少によって労働者が受け取る給与総額は必ずしも増加せず)。失業率は20年度:3・3%、21年度:3・1%と予測(20年度下期にかけて3%台半ばまで上昇した後、21年度は緩やかに低下〔22年1~3月期は2・9%〕)。

【物価動向】20年3月の全国消費者物価(生鮮食品を除く総合)は前年比0・7%であったが、消費税要因を除けば同▲0・2%と下落している可能性が高い(消費税率10%への引上げは19年10月~20年9月の物価上昇率を0・9ポイント押し上げる一方、幼児教育無償化は同期間の物価上昇率を0・6ポイント、高等教育無償化は20年度を通じて0・1ポイント、それぞれ押し下げると想定。エネルギー、宿泊費、外国パック旅行費などの下落や高等教育無償化の導入により、4月の東京都区部消費者物価は同▲0・1%と3年ぶりの下落)。20年度の消費者物価(生鮮食品を除く総合)は前年度比▲0・3%(消費税要因を除くと同▲0・8%)と4年ぶりの下落、21年度は同0・1%とプラスに浮上するが、日銀が目標とする前年比2%に見通せない状況。

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