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森林組合法改正法案が参院農水委員会で可決

2020年5月19日

 「森林組合法の一部を改正する法律案」が14日、参院農林水産委員会で可決した。なお同法案に対して、附帯決議を行った。

 同法案は、森林組合の経営基盤の強化を図るため、組合間の合併以外の多様な連携手法の導入、正組合員資格の拡大、事業の執行体制の強化等の措置を講ずるもの。

 附帯決議の内容は以下の通り。

 ①森林組合に対しては本法により創設される新たな連携手法の利用促進に向けた制度の周知に努めるとともに、連携手法を選択しない場合も含め、個々の状況に応じて経営基盤の強化に向けた自主的な取組を引き続き支援すること。
 ②正組合員資格の拡大にあたっては、後継者等が正組合員として森林組合の運営に参加することが促進されるよう、制度の周知を図ること。また、理事に女性や若年層が登用されることが促進されるよう必要な施策を行うこと。
 ③森林組合が行う、林産物の販売等の強化にあたっては、本法により創設される新たな連携手法等による販売、その他の事業活動の拡大を通じ、地域林業の活性化、さらには地域経済への貢献が図られるよう指導すること。
 ④森林の有する公益的機能の維持増進を図りつつ事業を実施する森林組合が意欲と能力のある林業経営者として、森林経営管理制度や樹木採取権制度の円滑な実施に貢献できるよう、人材の育成、施業技術の向上等の必要な支援を行うこと。
 ⑤森林経営管理制度の円滑な実施に向けては、森林組合をはじめとする林業事業体における新規就業者の確保及び定着が喫緊の課題となっていることに鑑み、林業就業者の所得の向上、労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策のさらなる強化をはかること。
 ⑥台風等の自然災害による森林被害が頻発している現状に鑑み、災害発生を予防し災害復旧を迅速化する観点から、倒木の防止や除去等を含め間伐をはじめとする適切な森林整備を推進すること。また、市町村が主体となった森林整備の着実な推進に向け、林地台帳の整備、境界の明確化、森林所有者の明確化等を一層推進すること。

【森林組合法の一部を改正する法律案の概要】

●組合間の多様な連携手法の導入…①森林組合及び森林組合連合会の主要事業である販売事業等を譲渡するには総会の決議又は特別決議を経る必要がある旨を規定する。②森林組合又は森林組合連合会がその事業を分割して他の森林組合又は森林組合連合会に承継させることを可能とする、吸収分割の制度を導入する。③2以上の森林組合又は森林組合連合会がそれぞれの事業を分割して新たに設立する森林組合連合会に承継させることを可能とする、新設分割の制度を導入する。
●正組合員資格の拡大…森林所有者である個人と同一の世帯に属する者のうち当該個人から指定を受けた一人については正組合員となることができる旨の規定について、「同一の世帯に属する者」を「推定相続人」に改めるとともに、指定を受けることができる人数の上限を設けないこととする。
●事業の執行体制の強化…①販売事業を実施する森林組合及び森林組合連合会に対し、販売事業等又は法人の経営に関し実践的な能力を有する理事を1名以上配置することを義務付ける。②理事の年齢・性別に著しい偏りが生じないよう配慮すべき旨の規定を追加する。③森林組合及び森林組合連合会が事業を行うに当たっては、「森林の有する公益的機能の維持増進を図りつつ、林業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない」旨を明記する。

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