持続可能な食料の生産と農業振興など6取組でSDGs目標目指す
JA全中(全国農業協同組合中央会 中家徹会長)は14日開いた理事会で「JAグループSDGs取組方針」を決定した。JAグループ全体で、「協同組合の視点」など5つの視点、「食料・農業事業分野」「地域・くらし事業分野」「協同・組織運営分野」の3分野で、「持続可能な食料の生産と農業の振興」など6つの取組みを通じ、SDGsの達成に向けて取り組む、としている。
「SDGs(持続可能な開発目標)」は、国連サミットで採択された、国際的な取り組み目標で、「誰一人取り残さない社会の実現」を目指し、経済・社会・環境の課題に取り組むもの。その達成には途上国・先進国を問わず、また、政府だけでなく、民間の団体・企業の役割も求められており、協同組合の役割も期待されている。
「JAグループSDGs取組方針」は、「第28回JA全国大会決議」や「農協法5年後見直しを見据えたJA自己改革の取組方針(案)」で提起されているSDGsへの取り組みについて、JAグループとしての基本的考え方を整理し、①今後それぞれの組織において個性ある取り組みを促進するにあたって活用されること、②対外的にも積極的に発信していくことを意図したもの。SDGsにかかる取り組みの実施は各県域・JAの判断によって行うものであることから、県域における対象組織(連合会等)の範囲やJAにおける対象組織(子会社等)の範囲については、個々の判断に委ねるとしている。また、すべての目標の達成への貢献を目指しながら、各組織が各目標に対して、優先的・段階的に他組織との連携も含めて、取り組んでいくことを通じて、JAグループ全体として目標の達成に貢献することを基本としている。
「取組方針」では、SDGsへの取り組みにあたって、SDGsの趣旨をふまえつつ、JAらしさ、JAならではの視点をもつことが重要であることから、①協同組合の視点から、②持続可能な食と地域づくりの視点から、③新たな成長分野の視点から、④地球的共通課題(環境問題等)への対応の視点から、⑤取り組みの「見える化」と積極的な情報発信の視点から、の5つの視点に整理した。
具体的な取組内容については、SDGsの経済・社会・環境の3側面にもとづく17の目標、169のターゲットの実践にあたって、「食と農を基軸に地域に根ざした協同組合組織」であるJAの特性をふまえ、3つの分野、6つの取り組みに整理。JAグループは、以下の取り組みを通じて、SDGsで目指す目標を達成していく。
Ⅰ 食料・農業事業分野
▼持続可能な食料の生産と農業の振興に取り組みます…JAグループとして不断の自己改革の取り組みを通じて、生産基盤の重要な要素である担い手の確保・育成と農地の保全・活用につとめる。
▼持続可能なフードシステムの構築に取り組みます…生産段階で発生する資源の消費を抑制。また、JAファーマーズマーケットの活性化など、生産された農畜産物の流通・販売段階でも資源消費を抑制する、等。
▼農業生産における環境負荷の軽減に取り組みます…地域実態等に応じて環境負荷の軽減に配慮した農業生産の仕組みを目指す。その農業を推進することで生態系の保全に寄与する、等。
▼農業のもつ多面的機能を発揮していきます…都市農村交流や都市農業の推進を通じて、緑地・公共スペースへの消費者等のアクセスを容易にし、経済・社会・環境などのあらゆる分野において都市と地方との良好なつながりを創出する、等。
Ⅱ 地域・くらし事業分野
▼安心して暮らせる持続可能で豊かな地域社会づくりに貢献していきます…地域にくらす組合員・地域住民に対して地域に根ざす協同組合としての役割を積極的に果たしていく、等。
Ⅲ 協同・組織運営分野
▼国内外の多様な関係者・仲間との連携・参画につとめます…女性の運営参画や民主的な意思決定によるアクティブ・メンバーシップの推進、また、協同組合や商工会、地方公共団体等、地域な多様な組織とのパートナーシップを通じて、地方創生に取り組む、等。
JAグループSDGs取組宣言
わたしたちJAグループは、「持続可能な開発のための 2030アジェンダ」に賛同し、その達成に向けて、事業・活動に取り組みます。
JAグループは「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として、組合員の皆さんの声に応えながら、不断の自己改革への取り組みを通じて、持続可能な地域農業・地域社会づくりに取り組んできました。
今後はさらに、わたしたちの事業や活動が与える多面的な影響にも配慮しながら、地球的視野に立ち、地域社会を構成する一員として、組織・事業・経営の革新をはかり、社会的役割を誠実に果たします。
JAグループは、各々の置かれた環境を踏まえて、SDGs の達成に向けて、事業・活動に取り組んでいきます。