農水省はこのほど、新型コロナウイルス感染症の食品流通への影響について食品メーカー、食品卸等関係者に対しヒアリングを行った。緊急事態宣言の対象区域の拡大が、食品の製造・流通に及ぼす影響について、現場の意見を聴取した。ヒアリングはテレビ会議形式で行われ、江藤拓農相、伊東良孝・加藤寛治両副大臣、河野義博・藤木眞也両大臣政務官、末松広行事務次官らが出席した。ヒアリング対象は、食品メーカーの山崎製パン㈱(飯島延浩社長)、日清食品ホールディングス㈱(安藤宏基社長)、味の素㈱(西井孝明社長)、日清フーズ㈱(小池祐司社長)、ハウス食品㈱(工東正彦社長)、食品卸の国分グループ本社㈱(國分晃社長〔日本加工食品卸協会会長〕)、卸売市場の東京青果㈱(川田一光社長〔全国中央市場青果卸売協会会長〕)、食品小売の㈱ヤオコー(川野幸夫会長〔日本スーパーマーケット協会会長〕)。
このうち、食品メーカーからは、需要について「受注に応えられない時期や製品が出たが、現在は小売業からの落ち着いたオーダーを受け、物流会社の協力により対応出来つつある。通常の3割から4割増の受注があり、調整して通常の1・5倍の出荷を行った。都市部では依然として通常の2倍の要請があるが、収束傾向にある」などと状況を説明しながら、「食料産業局が中心になって、主要メーカーの供給能力や、サプライチェーンの状況を把握し、供給力があるかを判断して、有事の際にはデマゴギーに負けない情報発信を、間髪を入れずに実行してもらいたい」と訴える声があった。また、「感染症の拡大に伴い、パスタの需要が非常に伸びている。段階的に感染拡大防止に向けて要請が出され、その都度需要が高まっている状況だ」と現状を示した上で、「原材料調達への障害はないが、今後も原材料が届かないことがないようにお願いしたい」との訴えもあった。