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「土地基本方針(案)」を公表、農地集約等農地に係る施策も=国交省

2020年4月20日

 国交省はこのほど、「土地基本方針(案)」を公表した。令和2年3月に成立、交付・施行された「土地基本法等の一部を改正する法律」において、土地の適正な「利用」「管理」及び「取引」を促進する観点から国及び地方公共団体の講ずべき施策等について基本的事項を示すもので、今回初めて策定するもの。「土地の利用及び管理に関する計画の策定等に関する基本的事項」「適正な土地の利用及び管理の確保を図るための措置に関する基本的事項」「土地の取引に関する措置に関する基本的事項」など5項目を柱としており、農地の集約や農山漁村への移住ニーズを取り込む観点から「農地付き空き家」等の円滑な支援など、農地に係る施策も盛り込まれている。農地に係る施策は要旨以下のとおり。

 〈適正な土地の利用の確保を図るための措置〉【既に利用されている土地の適正な利用に関する施策】 ▼農地の集積・集約…地域の農業関係者が、今後の地域農業や農地利用のあり方について協議し、地域の中心となる農業者や、分散した農地利用の解消方針などについてとりまとめることを促し、これを核として農地中間管理機構を活用した担い手への農地集積・集約化を進める。
 【低未利用土地の適正な利用に関する施策】 ▼低未利用土地の取引の促進…空き地・空き家を含む低未利用土地の利用を促進し、あるいは長期的に低未利用な状態となることを防ぎ、土地の適正な利用を確保する観点からは、利用する意思・能力を有する者に円滑に利用する権利が移転されることが重要である。譲渡価額が低額であるため取引に係るコストが相対的に高い低未利用の土地等を譲渡した場合の個人の譲渡所得に係る税制特例措置により、売主の取引に当たっての負担感を軽減し売却するインセンティブを付与することで譲渡を促し、新たな利用意向を示す者による適正な利用・管理を促進する。各自治体の空き地・空き家の情報の標準化・集約化を図り、全国の空き地・空き家の情報を簡単にアクセス・検索を可能とする「全国版空き家・空き地バンク」の活用促進を通じた需要と供給のマッチングにより、低未利用の土地・不動産の取引を促進する。農山漁村への移住ニーズを取り込む観点から、「農地付き空き家」等の円滑な取得支援を行うことにより、農村地域における適正な低未利用土地の利用を促進する。
 ▼土地の利用可能性の向上…低未利用土地権利設定等促進計画制度や土地区画整理事業の集約換地の特例に基づく土地の集約・再編や所有と利用の分離によって土地の利用可能性を高めるほか、地域住宅団地再生事業(用途規制の緩和手続等)をはじめ多様な建物用途の導入、地域公共交通の利便性向上(コミュニティバスの導入等に必要な許認可手続)等を通じた住宅団地の再生を図るなど、低未利用土地の発生抑制や適正な利用を促進する。地域の特性に応じて、低未利用土地を遊水地、農地、緑地などグリーンインフラとして整備・維持管理することにより、適正な土地の利用を推進する。例えば、民間主体による市民緑地の整備を促す制度や、緑の担い手として民間主体を指定する制度等を活用し、緑地等を効果的に整備・保全すること等により、適正な低未利用土地の利用を推進する。
 〈所有者不明土地問題への対応に関する措置〉 【所有者不明農地・森林の適正な利用・管理】 所有者が不明である農地について、農業委員会による探索・公示手続を経て、農地中間管理機構が利用権を取得できる制度等により、所有者不明農地の利用を促進する。

 なお、国交省土地・建設産業局企画課では、同方針案について23日までパブリックコメントを募集している。

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