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「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」が閣議決定

2020年4月17日

ロス削減を国民運動として推進、県・市町村は「計画」を策定

 食品ロスの削減を国民運動として進めていく上で、国、地方公共団体、事業者、消費者等の指針となる「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」が3月31日、閣議決定した。

 昨年10月に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」において、食品ロスの削減に関する施策の総合的な推進を図るため、基本方針を策定、都道府県及び市町村はこの基本方針を踏まえ、食品ロス削減推進計画を策定(努力義務)することになる。

 「方針」では、国民各層が食品ロスの削減を「他人事」ではなく「我が事」として捉え、「理解」にとどまらず「行動」に移すことが必要で、多様な主体が連携し、国民運動として推進、することを基本的な方向として盛り込んでいる。求められる役割と行動として、以下のように例示している。 

 【消費者】買い物の前に家にある食材をチェックし、使いきれる分だけ購入。食品の適切な保存。家・外食店での食べきり。外食で料理が残った場合は自己責任で持ち帰り。食べきり協力店等、積極的な取組を行っている事業者の利用。

 【農林漁業者・食品関連事業者】規格外農産物の有効活用。納品期限(3分の1ルール)の緩和、賞味期限の年月表示化、賞味期限の延長等の商慣習の見直し。季節商品の予約販売等需要に応じた販売。外食店での小盛りメニュー等の導入、持ち帰りへの対応。

 また、基本的施策として、以下の点を踏まえ、《国》は以下の事項に取り組み、食品の生産から加工、流通、消費に至る一連の過程において、削減の取組を強力に推進、《地方公共団体》は以下を踏まえ、地域の特性に応じた取組を推進、することを求めている。

 ①教育及び学習の振興、普及啓発等…▼消費者への食品ロスに係る正しい知識の普及、▼食品ロスを減らすポイントを記載した普及啓発資材を活用し、家庭における削減のため具体的な取組を推進、▼「外食時のおいしく『食べきり』ガイド」による外食時の食べきり・持ち帰り等に係る啓発を一層推進、▼食品ロス削減月間(10月)に社会的な機運を高める取組を実施。

 ②食品関連事業者等の取組に対する支援…▼商慣習の見直しなど食品の生産、製造、販売等の各段階における食品ロス削減のための取組を推進、▼小盛りメニューの導入など外食産業における食品ロス削減事例や、持ち帰りの留意事項等を普及、▼需要予測の高度化や物流の効率化による食品流通の合理化等を通じて食品ロス削減を推進。

 ③表彰…取組の重要性が国民に広く認知されるよう、国において表彰制度を創設。

 ④実態調査及び調査・研究の推進…▼食品ロスの発生量の推計、発生要因の分析を実施、▼効果的な削減方法等に関する調査・研究を実施。

 ⑤情報の収集及び提供…先進的な取組や優良事例を収集し、広く国民に提供。若者による積極的な取組に配意。

 ⑥未利用食品を提供するための活動の支援等…▼食品関連事業者とフードバンク活動団体とのマッチングやフードドライブを含めた関係者相互の連携のための取組等を支援、▼フードバンク活動団体における食品の取扱い等に関する手引きを周知、▼食品の提供等に伴う責任の在り方に関する諸外国の事例調査。

 食品ロスの削減目標に関しては、「第四次循環型社会形成推進基本計画」における家庭系食品ロスや「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針」における事業系食品ロスの削減目標(2030年度までに2000年度比で食品ロス量をそれぞれ半減)の達成を目指し、総合的に取組を推進、することを掲げている。

 なお、施策の実施状況については、適切に点検を行い、その結果を踏まえて必要に応じて施策を見直すこととしており、社会経済情勢や施策の実施状況等を踏まえて、法施行後おおむね5年を目途に基本方針の見直しについて検討する方針。

 世界の食料廃棄量は、年間13億tと推計。日本は、食料の多くを輸入に依存、まだ食べることができる食品については、できる限り食品として活用することが重要。

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