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規制改革農林WGで農地転用議論、委員から2a未満の特例面積拡大求める意見

2020年4月17日

 政府は9日、規制改革推進会議農林水産WG(オンライン会議形式〔非公開〕)を開催した。今回は、農業用施設の建設に係る課題等について、農水・国交両省からヒアリングを行った。

 内閣府によると、農水省は、政府の規制改革実施計画(令和元年6月)を踏まえて行った農業用施設の建設に係る農地転用の実態を把握するためのアンケート調査を報告、それを踏まえ、WG委員等から「農地転用許可を要せずとも転用できる規模を拡大すべき」などの意見が出された。

 農業振興地域制度において、市町村が農業上の利用を確保すべき土地を農用地区域として指定し、農地転用を禁止するとともに、農地転用許可制度において、農地の優良性や周辺の土地利用状況等により農地を区分し、転用を農業上の支障が少ない農地に誘導(個別転用を規制)。農業用施設であれば、転用許可を受けることで全ての農地区分に設置可能であるが、2a未満の一定の農業用施設は許可自体が不要となっている。農地転用許可制度では、施設等の設置に伴い、周辺農地に対する日照や、排水による農業用水への影響の有無などを確認し、その結果周辺農地の営農に支障が及ばない場合等に許可。許可不要で転用できる場合はこの確認が行われないため、周辺農地の利用に悪影響を及ぼすリスクが増大することから、農業用施設の規模を2a未満に限定している。

 WGでは、委員から、▼農地転用許可を要さない農業用施設の対象となっていない「農畜産物の加工・販売施設」については特例の対象としないことは6次産業化をすすめる農水省の施策と矛盾する、▼2a未満の農地転用について、農家一戸あたりの平均農地面積も変化しており、農業経営の実態に応じ、転用規模を2aから拡大すべき、▼建物による日照や通風、排水などの影響は土地の面積ではなく建物の高さによるものであり、2a未満という面積で設定するのは合理的ではない、▼農外利用を事後的にされやすいリスクについては、認定農業者などの要件をつけることで下げることができるのではないか、などの意見が出されたという。

 農水省では、農業用施設の建設に係る農地転用の実態等を把握するため、元年10~11月に農業者や農地転用許可・農業振興地域制度を所管する自治体担当者にアンケートを実施。《農地転用許可制度》が、地方自治体(都道府県、指定市町村、農業委員会)1213件、農業者1839件、《農業振興地域制度》が地方自治体(都道府県、市町村)1221件から回答があった。

農水省「農業用施設等に係るアンケート」の概要

 ●過去3年以内に農地に農業用施設を設置した農業者は12%、農業用倉庫、駐車場、農機具格納庫、温室など営農に直接的に関係する施設が多い。規模は2a未満が全体の62%。
 ●「2a未満の農業用施設の特例の認知度」については、農業者の約7割が特例を知らない(特例に駐車場等が含まれることも含む)と回答、自治体も4割近くが内容を正確に認知していないなど、特例が現場で十分に認知されていない。地方自治体による農業者への周知も「特に周知を行っていない」との回答が8割超。
 ●農畜産物の加工・販売施設を「特例」の対象とすることについては、「6次産業化の推進につながる」「所得の向上につながる」などの理由から肯定的な意見が否定的な意見を上回ったが、「設置後に農外利用され無秩序な開発が行われる」「審査を経ないと周辺農地に悪影響を及ぼす」などの懸念の声も地方自治体を中心に相当数あった。全体的に、農業者・地方自治体ともに「どちらともいえない」との回答が半数以上を占め、肯定的な意見が多数を占めるまでには至っていない。
 ●「特例」に対する評価について、農業者は「2a未満では面積が小さすぎる」(556件)、「農業用施設の範囲が限定的」(468件)などの規制緩和を求める意見が多い一方、許可を受けずに転用されることから「周辺とのトラブル」を懸念する意見(361件)も多数見られた。地方自治体は、規制緩和よりも「違反転用の温床となる」(402件)、「農業関係者の認知度が低い」(385件)、「施設の範囲が不明確」(353件)など制度の運用面に係る意見が多数見られた。
 ●農地転用許可まで要する期間は、「2か月以内に処理されている」との回答が半数程度あったが、「半年または半年以上の長期に及ぶ」との回答も一定程度見られた。農用地区域からの除外、農用地利用計画の用途変更、他法令の許認可を要する場合など他制度との調整を必要とする場合に長期化する傾向にある。
 ●農地転用許可手続に当たって、農業者は「申請書の記載事項が煩雑」「添付書類が多い」といった意見が多く、地方自治体が農業者から聞く意見についても、「申請書の書き方が分からない」「添付書類が多い」との意見であり、申請書等の作成時点における意見が多数見られた。
 ●農業用施設の設置について、農地転用を認めなかった事案があったと回答した自治体は、全体で5%程度。その主な理由は「他法令の許認可が見込まれない」「違反転用者等である」「転用面積が不適切」など、一般基準を満たさなかったケースとなっている。
 ●農用地区域内に農業用施設を設置するための農業用施設用地への用途変更において、施設の設置希望者とトラブル等が生じた事例がある自治体は、用途変更を実施した921地方自治体のうち75地方自治体(8%)。そのトラブルの主な原因は、「軽微変更(1ha以下)による用途変更に長期間を要した」(32件、34%)、「設置希望者が希望する施設が農業用施設に該当しなかった」(20件、22%)等。

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