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新たな「家畜改良増殖目標」を策定=農水省

2020年4月6日

国内外の消費者ニーズに応え生産基盤を強化

 農水省はこのほど、10年後の乳量9000~9500kg、黒毛和種日齢枝肉重量+47g、等とする「家畜改良増殖目標」を策定した。「家畜改良増殖法」に基づき、家畜の改良増殖を計画的に行うことを通じ畜産の振興を図ることを目的として、牛、豚、馬などの家畜の能力、体型、頭数等の目標を示すもの。畜産農家の高齢化や後継者不足の進展等により、省力的な飼養管理の下でも高い生産性を発揮できる家畜づくりや国内の畜産物の消費が堅調な中、日米貿易協定による低関税枠の拡大や、対中輸出の再開に向けた動きなどを踏まえ、国内外の消費者ニーズに応えつつ、生産基盤の強化を図る方針。

 畜種別には令和12年度は要旨以下の目標となっている。

 《乳用牛》1頭当たり乳量の改良を引き続き推進するものとし、乳量に関する改良目標数値については、遺伝的能力のほか、飼養環境の影響を受ける表型値(実搾乳量)についても設定する。▼乳用雌牛の能力に関する育種価目標数値(ホルスタイン種全国平均)=乳量(現在+58・6kg/年)・乳脂肪(+2・4kg/年)・無脂乳固形分(+5・1kg/年)・乳蛋白質(+2・0kg/年)について、現在の改良量を引き続き維持、▼乳用雌牛の能力に関する表型値目標数値(ホルスタイン種全国平均)=現在の全国の経産牛1頭当たりの年間平均乳量に基づく数値は、乳量(8636kg〔牛群検定参加農家の平均値9776kg〕)を9000~9500kg〔10000~10500kg〕に、乳脂肪(3・90%)・無脂乳固形分(8・76%)・乳蛋白質(3・28%)は現在の乳成分率を引き続き維持、▼増殖目標=日本の乳用牛改良基盤の維持、牛乳・乳製品の安定的な供給確保、牛乳・乳製品の需要動向に即した生産を行うことを旨に、総頭数132万頭(現在133万頭)、うち2歳以上の雌牛頭数91万頭(現在92万頭)に設定。

 《肉用牛》▼種雄牛の能力(育種価向上値)に関する目標数値(全国平均)=日齢枝肉重量は黒毛和種+47g、褐毛和種+63g、日本短角種+34g、脂肪交雑は現在の改良量を引き続き維持する(育種価向上値は親牛がその子に及ぼす遺伝的能力向上効果で、基準年を0として算出。令和12年度の目標数値は、同年に評価される種雄牛のうち直近年度に生産された種雄牛の数値〔育種価〕と基準年〔平成23年度〕に生まれた種雄牛の数値〔育種価〕の差)、▼繁殖能力に関する目標数値(全国平均)=繁殖形質のデータ収集等を推進、的確な遺伝的能力評価に基づき、繁殖性に優れ、生涯生産性の高い種畜の選抜推進により、初産月齢の早期化や分娩間隔の短縮等を推進し、初産月齢は23・5(現在24・5)か月、分娩間隔〔日数〕は12・5〔380日〕(13・2〔400日〕)か月、▼増殖目標=牛肉の需要動向に即した生産を行うことを旨として、飼養頭数目標を設定。特に、遺伝的能力評価に基づく優良な繁殖雌牛の増頭を図るとともに、乳用後継牛の不足を生じさせない範囲内で、受精卵移植技術を活用した和子牛の生産拡大等を推進する。総頭数は303万(現在251万)頭、うち肉専用種243万(172万)頭、乳用種・交雑種60万(79万)頭。

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