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自民農林合同が新型コロナに関する経済対策案了承

2020年3月27日

生産基盤の強化や需要喚起対策の推進など13項目

 自民党農林・食料戦略調査会(塩谷立調査会長)、農林部会(野村哲郎部会長)は26日、合同会議を開き、農林関係の「新型コロナウイルス対応に関する経済対策(案)」を、調査会長・部会長一任で了承した。労働力確保などによる生産基盤の強化策や、経営継続に対する支援のほか、和牛等需要の大幅な低下に対応するための「お肉券」の取組等、国産農畜産物の需要喚起対策の推進など13項目が柱。経済対策に関する重点事項案の内容は以下の通り。

 ▼労働力確保を始めとする生産基盤の強化…技能実習生の生産現場への受入れ見通しが立たないこと等に対応し、①手続の簡素化を始めとする入国できる技能実習生の円滑な受入れの推進、②農業高校・農業大学校等の学生による援農や派遣事業者(JA等)による人材派遣・研修などへの支援、③農業高校・農業大学校等における農機の導入支援、④スマート農業の実証・実装の加速化等を通じた人手不足の解消を推進するほか、⑤感染時の経営継続に向けた酪農ヘルパーなどの畜産農家や外部支援組織の代替要員の確保に対する支援などの生産基盤の強化等を推進。
 ▼農林関係事業者等への経営継続に対する支援…農林関係事業者等の経営継続に必要な返済猶予、税の減免措置及び納税猶予等を強力に推進。
 ▼需要喚起対策の推進…①国内、海外における牛肉・牛乳乳製品の需要喚起=インバウンド需要の減少等による和牛・牛乳乳製品需要の大幅な低下に対応するため、「お肉券」など小中学生・高齢者等の消費者による国産牛の購入を一層促進するための取組、食肉事業者・乳業者・外食・給食事業者が行う販促活動など消費者の需要を拡大する取組等を強力に推進、②花き・果実等の国産農産物の需要喚起と次期作支援=卒業式等の中止・縮小による花きの需要減少、給食・外食向けの農産物の需要減少等に対応するため、公共施設を活用したPR、観光業と連携した国産農産物の利用促進などの国内外の需要喚起と、それに対応した次期作に必要な種子・種苗、生産資材等の確保、新品種・新技術の導入等の取組を推進、③国産農林水産物・食品の需要喚起=需要が減少している国産農林水産物・食品の一層の消費を促すため、米を始めとする国産農林水産物・食品を消費者に購入してもらうための販売促進の取組や飲食店等の客足回復を図るための取組(クーポン等)を推進。
 ▼畜産物の物流の停滞の解消対策…需要喚起対策では解消できない脱脂粉乳などの乳製品・牛肉の過剰在庫等の物流の停滞に対応するため、需要先の確保や保管機能の強化、繁殖・肥育経営の産地での円滑な出荷の取組等を推進。
 ▼畜産・酪農経営の安定に向けた万全の対応…畜産経営の収益性悪化による経営継続への不安に対応するため、繁殖・肥育経営等への実質無利子化・実質無担保化の融資枠の増額や牛マルキンの負担金免除など資金繰りへの更なる支援等、共同施設等の整備を推進。
 ▼加工・業務用野菜等の国産化・輸出力強化…中国からの玉ねぎ等の加工・業務用野菜の輸入減少に伴う国産への転換需要等に対応するため、産地と実需者の連携による加工・業務用野菜、花き、茶等の国産化・輸出力強化に向けて、皮むき等の一次加工や、花きのコールドチェーン、抹茶加工、生産に要する資材確保など、生産・流通・保管・加工体制の整備等を推進。
 ▼外食、食品製造業等の食品事業者への対応…食品事業者を取り巻く事業環境の悪化に対応するため、円滑な資金繰りの推進、国産原料の利用を促進する取組、食品事業者へのマスクの供給も含めた衛生管理の徹底・改善や、パン等の食品製造事業者の生産性向上・共同化等を図る取組、感染拡大時でも事業継続可能な省力化・自動化や卸売市場の機能の高度化等を図る取組、6次産業化や地域資源の利活用に取り組む事業者の経営回復に向けた取組等を推進。また、技能実習生の就労期間延長等を推進。
 ▼農林水産物・食品の輸出に取り組む生産者・事業者への緊急支援…コロナウイルス感染拡大による影響の緩和と輸出拡大のための環境整備を図るため、海外拠点を含めた輸出事業者の事業・雇用の継続、商流への影響緩和、衛生管理の強化、輸出手続の円滑化、コールドチェーン等のインフラ整備、風評の払拭等の取組を推進。また、輸出商流の早期回復・拡大を図るため、仕向先の転換のための商談・プロモーション、品目毎の影響に応じた取組、需要回復時の輸出拡大等の取組を推進。
 ▼多様な木材需要喚起…中国向け原木輸出の減少や住宅着工の遅れに加え、住宅商談会の中止などにより今後更に生じる木材需要低迷に対応するため、外構(木塀など)、住宅、非住宅などの様々な分野における国産材の需要を喚起するための対策を推進。
 ▼直面する需給環境への対応…輸出向け木材の国内での停滞など、厳しさを増す需給環境に対応するため、輸出向け原木の保管・輸送や大径材の国内加工などの取組を推進するとともに、林業者等に対し、強力な資金繰り対策を実施。
 ▼需要に応じた生産と雇用の安定…民有林・国有林において需要に応じた生産を推進し、需給の安定を図るとともに、保育間伐などの木材生産を伴わない森林整備など、雇用への影響を緩和するための取組を推進。
 ▼酒類事業者の資金繰りの確保・国内の需要喚起に向けた対応…酒類事業者の資金繰りを確保するため、セーフティネット保証をはじめ、融資の円滑化の取組を推進。新型コロナウイルス感染拡大により飲食店等での需要が減少している酒類について、消費の回復・拡大を図るための取組を推進。
 ▼酒類輸出関連事業者への支援…将来の輸出拡大のための環境整備と輸出商流の早期回復・拡大を図るため、日本産酒類の商談・プロモーション、ブランド化、酒蔵ツーリズム等の取組を推進。

 野村部会長は、特に牛肉に係る対策について、インバウンド需要の減少等により、在庫が積み上がっており、全国各地の冷蔵庫が満杯であるという状況を説明、「なんとか農家に大きな影響が出ないように早めに肉を流通させ、農家が(牛肉の)出荷を止めなくて済むような対策を講じるべき、というのが農林部会で議論をしてきた結果だ」と語った。また、経済対策について「今後、党内で様々な調整が行われていくだろう」と述べ、「我々がまとめたものが実現できるように、議員の皆さんのご支援をお願いしたい」と訴えた。

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