農水省は1月31日、「令和元年度鳥獣対策優良活動表彰」の受賞者(=別表、農林水産大臣賞、農村振興局長賞)を発表した。
鳥獣被害防止や捕獲した鳥獣の食肉(ジビエ)の利活用等に取り組み、地域に貢献している個人や団体を表彰するもの。表彰式は2月20日同省講堂で行われる。
農林水産大臣賞の受賞者の活動内容は以下の通り。
▼南会津町中荒井集落(被害防止部門・団体/渡部雅俊区長)…平成20年頃からニホンザル、次いでイノシシ、25年頃からニホンジカによる農作物被害が発生。特にニホンジカによる移植直後の水稲被害は集落全域で発生、被害が急激に拡大し、個人の対応では限界となる。区内に組織した「有害鳥獣被害対策委員会」を中心として、国・県・町の事業も有効活用しながら対策を実施。また、大学と連携して生息状況調査を実施し、被害防止対策に活用。電気柵の維持管理のために管理責任者を配置し、「管理責任者による点検」と状況に応じた「共同作業」を実施。また、農地周辺の林の間伐や放任果樹の除去など9・3haの緩衝帯を整備し、管理のために定期的な草刈りを実施。後継世帯を含む住民全員への参加を促すとともに、大学サークルやNPO法人などからもイベントを通して人材活用。被害低減による営農意欲の向上を背景に、集落の担い手である農業法人や障害者福祉施設等との協働による耕作放棄地の解消が進み、地域の活性化に繋がっている。
▼小諸市(捕獲鳥獣利活用部門・団体/小泉俊博市長)…シカの有害捕獲頭数の増加により、捕獲個体の焼却処理費用が大きな財政負担となったため、有害捕獲個体を利活用し処理費用を削減、需要の見込めるジビエペットフードの製造に着手。平成27年度に、県の野犬・猫の殺処分場を買い取り、改修して食肉処理業及び食肉販売業の許可を受けた食肉処理加工施設を整備。高い衛生レベルの確保や、大学との共同研究による臨床試験に基づく製品PRに取り組み、高級ペットフードとしてのブランド化を進め、ペット関連業者や動物病院等での販売やふるさと納税の返礼品として販路を拡大し、事業の黒字化を達成。市内の有害捕獲個体はほぼ全ての利活用を達成(約92%)。加えて、近隣市町からも捕獲個体を受け入れ、処理頭数が大幅に拡大。