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政府TPP等総合対策本部が関連政策大綱を改訂

2019年12月9日

中山間地域等における担い手の育成確保・収益力向上・基盤整備、等

 政府は5日、TPP等総合対策本部を開催し、「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂した。農業分野では「中山間地域等における人材確保や基盤整備の取組を支援し、所得の確保や生産性向上を推進することで担い手を育成」することや、「輸出のための司令塔組織の創設と輸出条件の改善及び国内の輸出環境整備」などを推進する等と修正・変更した。今年10月に署名した日米貿易協定に加え、TPP11、日EU・EPAの発効後の動向を踏まえて、政策を改めて体系的に整理し、これらの協定の効果を最大限に活かすために2年ぶりに改訂した。

 新たな大綱は、農林水産分野については、「生産者が持つ可能性と潜在力をいかんなく発揮できる環境を整え、高品質な我が国農林水産物を求める海外の需要や現時点で輸入品に賄われており今後も伸びが見込まれる国内需要へ対応した国内生産を拡大するため、農林水産業の生産基盤を強化することが必要である。このため、ロボット・人工知能(AI)・IoT等を活用したスマート農業等の技術革新を活かした生産性向上、中山間地域等の条件不利地域を含め、供給力を確保するための生産や流通の現場の体制強化や経営継承の促進、新たな市場に挑む意欲的な農業人材の確保などの生産基盤を強化するための措置を講ずることにより、強い農林水産業・農山漁村の実現を目指す。産地生産基盤パワーアップ事業、畜産クラスター事業等による施設整備とスマート農業の推進等を一体的に進める。また、交渉で獲得した成果を最大限活用できるよう、政府が一体になって戦略的に農林水産物等の輸出を推進する体制を整備するとともに、輸出力の強化による協定締約国の市場の獲得や開拓を推進するための措置を講じ、輸出の拡大を図る」とした。

 改訂された各項目別の概要は以下の通り。

 ▼次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成…「農業者の高齢化、農山漁村での人口減少が進む中、就職氷河期世代等を含む幅広い世代の受入れをはじめとした新規就業者の確保や担い手育成に必要な取組を支援し、力強く持続可能な生産構造を実現する。特に、人口減少の著しい中山間地域等においても、人材確保や基盤整備の取組を支援し、所得の確保や生産性向上を推進する」(政策大綱実現に向けた主要施策の改訂部分…中山間地域等における担い手の育成確保・収益力向上・基盤整備)
 ▼高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓…「輸出のための司令塔組織の創設と合わせて、輸出条件の改善及び国内の輸出環境整備、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)や有機等の国際的認証の取得等によるグローバル産地づくりの強化、戦略的プロモーションの強化、輸出に取り組む事業者の施設整備の支援や資金供給の円滑化、流通などの商流の体制強化」(新たに花きを加えた重点品目のJETRO等を活用した輸出促進対策、輸出向け施設整備等産地対策の強化、訪日外国人旅行者への食体験の充実を通じた地域農林水産物等の販売促進、輸出に取り組む事業者への資金供給の円滑化)
 ▼国際競争力のある産地イノベーションの促進…「スマート農業の活用を中小・家族経営や条件不利地域も含めて支援するとともに、輸出や加工・業務用等の増加する需要に対応する生産量増加対策や堆肥の活用による全国的な土づくりを展開する」(産地生産基盤パワーアップ事業の創設による地域の営農戦略に基づく農業者等が行う高性能な機械・施設の導入や改植などによる高収益作物・栽培体系への転換、国内外の新市場獲得に向けた拠点整備及び生産基盤継承・強化、堆肥の活用による全国的な土づくりの展開、スマート農業実証の加速化、農業者等への資金供給の円滑化等)
 ▼畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進…「省力化機械の整備やスマート農業の活用等による生産コストの削減や品質向上など収益力・生産基盤を中小・家族経営や条件不利地域も含めて強化する」「海外をはじめ今後も増加の見込まれる需要に対応するため、肉用牛・酪農経営の増頭・増産を図る生産基盤の強化や、それを支える環境の整備、生産現場と結びついた流通改革等を推進する」(畜産クラスター事業による中小・家族経営や経営継承の支援などの拡充、スマート農業実証の加速化、肉用牛・酪農経営の増頭・増産対策、家畜排せつ物の処理の円滑化対策)

 このほか知的財産分野で、「植物新品種・和牛遺伝資源保護関係」では、植物新品種の保護の促進(海外における品種登録〔育成者権取得〕の促進、海外における栽培差止め等の適切な権利行使支援)、「和牛遺伝資源の保護の促進」(和牛遺伝資源の流出管理対策の実施、知的財産的価値の保護の推進)などとしている。

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