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肥料取締法の一部を改正する法律案が可決・成立=参院本会議

2019年11月28日

 「肥料取締法の一部を改正する法律案」が27日開かれた参議院本会議で、全会一致をもって可決・成立した。

 同法は、土づくりや資源循環に役立つ堆肥や産業副産物由来肥料を安心して活用できるよう、肥料の品質管理を進めるとともに、農業者のニーズに応じた柔軟な肥料生産等が進むよう、肥料の原料管理制度の導入、肥料の配合に関する規制の見直し、肥料の表示の基準の整備等の措置を講じようとするもの。

 26日開かれた参議院農林水産委員会で、同法案に対して、7項目を盛り込んだ附帯決議を行い採択された。附帯決議の内容は以下の通り。

 ①原料のリスト化に伴う公定規格の見直しにあたっては、土壌の改善、資源循環等のメリットを有する産業副産物由来の原料の有効利用に留意すること。その際、肥料原料にかかる有害物質の除去や、その混入および濃縮の防止をはじめ、肥料の品質および安全性確保のための実効性ある監視体制を整備すること。
 ②肥料の原料についての帳簿への記載の義務化については、違反事例がある場合等における迅速な入手経路の把握および対応が行われるよう、トレーサビリティの実効性を確保すること。
 ③普通肥料の表示基準の策定および保証票の記載内容の見直しについては、公正性や透明性を確保した手続きにより行うこと。また、農業者の利便性を向上させるとともに、海外輸出向けの生産や有機農業等のより詳細な情報を必要とする生産を行う農業者への情報提供をはじめ、施肥に有用な情報の提供を充実することを旨として行うこと。さらに原料構成の変更に伴う保証票の作り直し等にかかる生産業者の負担軽減についても配慮すること。
 ④肥料の登録および届け出の手続きについては、電子化する等により、一層の合理化を図ること。
 ⑤地力の増進、収量の増加等、農業生産力を強化するため、土壌診断に基づく適切な土づくりの促進をはかること。また、土づくりに重要とされる堆肥をはじめとする特殊肥料の利用拡大に向け、耕種農家のニーズ等に対応した堆肥の高品質化をはかるとともに、家畜排泄物の地域偏在や輸送等の課題を解消するために、必要な措置を講ずること。
 ⑥CSF(豚コレラ)の防疫のための流通制限により豚の排泄物を利用した堆肥の確保が困難となる事例が生じていることに鑑み、その供給や流通に関する情報の収集・提供等必要な措置を講ずること。
 ⑦題名を含めた抜本的見直しを内容とする本法について、肥料の品質の確保及び農業者のニーズに柔軟に対応した肥料生産等の推進の観点から行われるものであることを周知徹底するとともに、施行に伴い農業経営の安定に資する安価で高品質な肥料の供給促進を図り、農業者への新たな負担や肥料の製造・流通段階での混乱が生じないようにすること。

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