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自動野菜収穫ロボットを従量課金型ビジネスモデルでサービス提供を開始=inaho

2019年10月9日

 自動野菜収穫ロボットを開発するinaho㈱(本社=神奈川県鎌倉市、代表取締役=菱木豊/大山宗哉)は、販売せずに農家へ貸出しする自動野菜収穫ロボットのサービスを開始した。佐賀県の農家に第1号ロボットが導入される。選択収穫野菜における自動野菜収穫ロボットを従量課金型のビジネスモデルで展開するのは国内初の取組みという。

 自動野菜収穫ロボットは、移動―探索―収穫という一連の流れで自動収穫を行うことが特徴〔詳細は別掲〕。全長125cm、全幅39cm、高さ55cmで重量は約65kg。バッテリー駆動で稼働時間は最大10時間(家庭用コンセントで充電可)。収穫時間は1本当たり12秒。

 従量課金型のビジネスモデル(RaaS=Robot as a Service)は、農家にロボットを販売するのではなく、市場の取引価格×収穫量の一部を利用料として農家がinahoへ支払う仕組み。農家は導入費を抑えて利用することができる。故障によるメンテナンス費も不要。さらに、定期的に最新のパーツに交換することで、ロボットの性能が継続的に向上できるという。ロボット間のネットワークを構築し、さまざまなデータ収集や農家へ生産性向上のアドバイスも実施する予定。

 現在の対応作物はアスパラガスのみだが、今後はトマトやイチゴ、キュウリなど、「人の目で見て収穫適期かどうかを判断しなければならない選択収穫野菜に広く対応していく」方針。ロボットの生産台数は今年中に数十台、2020年に数百台、2022年には約1万台を目標に設定、九州を中心に新たに拠点を開設することとしている。同社では、「農家の高齢化や人手不足は日本に限った課題ではない。世界の国々でも同様の課題が起きており、この世界的な課題に挑戦すべく、2020年にオランダに拠点を開設し、グローバル展開を目指す」としている。  なお、同社では9~11日に行われている「次世代農業EXPO」(千葉・幕張メッセ)に出展し、ロボットのデモンストレーションや事業紹介プレゼンテーションを実施する。

 【ロボットの特徴】

《移動》

・畑に白い線を設置するだけで設定したルートを自動走行

・ビニールハウス間の移動や夜間の利用も可能

・ロボットの操作はスマートフォンで簡単に可能

《探索》

・AIを駆使して自動走行しながら作物と枝等を判別

・探索した作物に対して収穫適期かどうかを判別

・収穫対象は出荷基準に合わせてcm単位で設定可能

《収穫》

・作物を傷つけることなくロボットアームで収穫

・収穫した作物はカゴに優しく収納

・カゴがいっぱいになると利用者のスマートフォンに通知

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