ウッドソリューション・ネットワーク(WSN)は一八日、林野庁との連携のもと、内装デザインを施主に提案するデザイナー、プランナー等のクリエイターに向けて木材を使った内装提案に取り組んでもらうための冊子「MOKU LOVE DESIGN~木質空間デザイン・アプローチブック」を制作した、と発表した。
WSNは、木材利用拡大に向けた各種課題の解決を図る産・学・金のプラットフォーム。木材関連産業の幅広い企業・団体の参加を得て、二〇一六年一〇月に設立。林業生産者団体の代表や加工・流通を担う製材会社・商社・ゼネコン・ハウスメーカー等二七社・団体で構成され、事務局は農林中央金庫が務めている。
WSNでは、内装への木材利用は、柱や梁等の構造材と比較し、利用量の観点からは及ばないものの、一般消費者の感性に訴えかけ、木の温かみや匂いを直接伝えるには大変有効な利用方法であるとして同冊子をクリエイター向けに制作。今後は、デザイン・アプローチブックの活用を通じてクリエイター、森林・林業関係者、関連分野の専門家等の相互の繋がりを創出し、山で木を伐採する生産から、住宅や家具など木を材料として利用するまでの「木」のバリューチェーン全体を俯瞰し、各行程におけるさまざまな課題を解決していくことを通じて、由来の確認された木材(クリーンウッド)の利用拡大に貢献することを目指している。
発表会で、農林中央金庫の岩曽聡常務執行役員(食農法人営業本部副本部長)は、同冊子の制作に至る経過、コンテンツの概要を説明した。岩曽常務執行役員は「木の価値、可能性をデザインの力で再発見して、今の時代に合った木質空間デザインを創出していきたい。木を愛するクリエイティブパートナーの皆様が出会う機会を設けてこれからの木の文化を再編し、由来の確認された木材を価値高く利活用することによって、産地への経済循環を活性化して森を育んでいく。農林中央金庫もしっかりとバックアップしていきたい」と活動方針を述べた。
冊子は、木の多面的な魅力を掘り起こすクリエイティブな取組に挑戦する人々のインタビューを通じて、先進的な木質空間の事例等を取り上げ、クリエイターの感性に訴えかける内容となっている。監修を務めた林野庁林政部の長野麻子木材利用課長も「戦後に植林された木は伐期が到来しているものの、人口減少に伴う住宅着工戸数の減少等により木材需要の大きな回復は見込みにくく、木材利用の用途拡大が急務だ。本冊子はデザインが素晴らしい。こうした民間企業の発想力を生かして国産木材の利用拡大に繋がることを期待する」とエールを送った。