〈本号の主な内容〉
■このひと
JA全中の新たな取組み
JA全中
代表理事会長
神農佳人 氏
■特集 持続可能な農業と食の未来へ
~農業生産基盤の再構築にむけて~
「令和8年度食料・農業・地域政策の推進に向けたJAグループの政策提案」
JA全中 常務理事 藤間則和 氏
「産地を次世代につなぐ共同利用施設の再編」
㈱農林中金総合研究所 リサーチ&ソリューション第1部長、
主席研究員 尾高恵美 氏
「持続可能な食と農へ消費者の目線から」
(一社)消費者市民社会をつくる会(ASCON) 代表理事 阿南久 氏
「与党自由民主党がめざす方向」
・自由民主党 総合農林政策調査会 会長 宮下一郎 氏
・自由民主党 環境と調和した持続可能な農業推進委員会 委員長 笹川博義 氏
「次世代アグリビジネス協議会の取組み」
㈱日本総合研究所 創発戦略センター チーフスペシャリスト 三輪泰史 氏
このひと
JA全中の新たな取組み
JA全中
代表理事会長
神農佳人 氏
JA全中は3月の臨時総会・理事会で、新会長に神農佳人氏を選任し、新たな体制を発足させた。同時に「JA全中刷新プラン」を決定し、ガバナンス・組織運営等の改革を実践している。神農会長に、改革に取組む思いや農業・JAが直面する課題について聞いた。
全中としての原点に立ち返り
共に同じ方向むき課題解決を
■就任から3か月。今の思いから。
農業やJAを取り巻く環境には、就任前から大変厳しいものがありました。全国のJAグループの皆さんが、共に同じ方向をむき、課題解決のため進んで行く、その先頭に立ちたいと思っています。全中として、グループの各組織の活動への支援に全力で取組んでまいります。
■刷新プラン実践への決意は。
新Compass-JA事業の早期かつ確実な事業清算を進めるとともに、JA全中刷新プランの着実な実践が何よりも必要です。
ガバナンス・組織運営改革については役員の業務執行体制を見直したところですが、引き続き農業・地域にかかる「政策・制度対応」に経営資源を集中する事業改革、現場との人事交流拡充をはじめとする人材・財政改革を強力に推進していきます。同時に、「組合員のために何をすべきか」という全中としての原点に立ち返り、全国の農業とJAに貢献できるよう努めてまいります。全中の代表、総合調整、経営相談の3つの機能が十分に発揮できるよう、さらなる環境づくりに努めます。特に、JAの経営基盤強化に向けた取り組みは重要であり、私も常勤役員とともに可能な限り各地をまわり、会員と対話・協議するなど、各地の状況を広く、きめ細かく把握したうえで、支援を進めていきます。
米の需要低減を懸念
消費者の理解が不可欠
■内外の情勢を踏まえた目下の課題は。
全中として5月、政府に緊急要請・政策提案を行いましたが、米問題、中東情勢に伴う農業への対応、食料品の消費税減税が大きな課題です。
米については、2024年から2025年にかけて、様々な要因から需給バランスが崩れ、価格の変動が起きました。直近では消費者の米に対する需要の低減を懸念しています。
米離れが起きてしまうと、消費者に美味しいお米を食べてもらいたい一心で生産に取組んでいる農業者にとって、大変残念なこととなってしまいます。こうした生産者の思い等について、消費者の皆さんにもご理解いただけるような活動が不可欠です。
燃料等確保に国の対応求め
消費税も農業現場に配慮を
■中東情勢や食料品の消費税減税については。
中東情勢の先行きは不透明ですが、石油の備蓄は、当面支障はないと政府が見解を示しています。しかし、今のような状態が続くと、今後の営農に差し支えるのではないかとの不安の声が生産者の一部から出ていることから、燃料や肥料、飼料等の確保に関し、生産者が安心できるような手当てを国に求めています。また、国には、各省庁に相談窓口を設置していただき、非常にきめ細やかに対応頂いています。JAグループとしても、安定化に向け、最大限協力していきます。
食料品の消費税減税については、国会での議論を見守るしかありませんが、農業現場への十分な配慮を求めるなどJAグループとしての考え方は、ヒアリング等の場でお伝えしてきました。農業者が必要以上に不利益を被ることのないよう、ご配慮いただければと思います。
国際園芸博への期待大
次のIYCへ連携深める
■来年3~9月に横浜市で開催される国際園芸博覧会へ向けては。
2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027)には、大いに期待しています。JAグループも「農」と「食」に関する展示や、季節感あふれるフレッシュスタンド、農産物マルシェを出店すべく準備を進めています。農業が果たしている機能を来場者に理解していただき、興味を持ってもらえるイベントにしたい。地元のJAグループ神奈川が会場内に持続可能な農の営みを表現する圃場を整備することとしており、博覧会後に公園として残す構想もあります。全国の農畜産物のPRにとどまらない、有意義な博覧会にしていきたいと思います。
■協同組合の社会的役割の浸透は。
昨年の国際協同組合年(IYC)に続き、2035年にもIYCが設定されたのは大きな意味を持つと考えています。協同組合が世界的にも存在意義を認められていることの証です。
私も(一社)日本協同組合連携機構(JCA)会長として、国内における協同組合組織の連携をさらに深め、その役割の重要性がいっそう社会に認められるよう努めてまいります。
「農家・組合員のため」が原点
■JA役員として心掛けてきたことは。
JAグリーン長野の役員を務め、2022年、JA長野中央会代表理事会長になりました。一貫して「農家・組合員ありき」の農協という組織の原点を、職員に知ってもらいたいという思いを基本にやってきました。
事業経営と同時に、農家・組合員のために必要な仕事をするのが農協の使命です。それを果たすには、経済事業団体としてある程度の利益をきちんと確保し、組合員に分配しなければなりませんので、両者のバランスが大切です。全中においても、協同組合としての運動と捉えて事業を展開できればと思っています。



