先月公表された2025年農林業センサスの概数値に、複数の意味で憂慮を抱いた。一つは自営農業を主な仕事とする基幹的農業従事者が102万1192人になり、過去最大の減少を示したことだ。それぞれ5年前との比較で15年は14.5%、20年は22.3%、そして今回の25.1%と減り方が加速している。
もう一つ、その平均年齢が比較可能な95年以降で初めて下がったのも驚きだった。前回より0.2歳若い67.6歳になり、高齢化に歯止めがかかったように見えるが、これは本当に「朗報」なのか。
さかのぼって見ると、15年の基幹的農業従事者で最も多い年齢層は65~69歳の30万5596人だった。この世代は人口急増期の1946~50年生まれとほぼ重なり、その中心はいわゆる団塊の世代(47~49年生まれ)だ。20年センサスでも同じ世代(その時点の70~74歳)が最多で、26万4193人と全体の約2割を占めた。
しかし、75~79歳の後期高齢者になった25年には18万5330人と20万人を割り込み、一つ下の世代(25年時点の70~74歳、21万3986人)に主力の座を譲った。平均年齢が下がったのは団塊の世代を中心とする46~50年生まれの引退が増え、相対的に下の世代(74歳以下)のウエートが高まったからだろう。70代が主力であることに変わりはないし、あらゆる年齢層で減っているのだから、少なくとも新規就農者が増えて若返ったわけではない。
メディアの報道にも呆れた。「資材価格の高騰や猛暑の影響で離農が進んだ」と短期的な要因を強調し「大規模経営への農地集積が進展した」と前向きに捉えるものもあった。その陰で経営耕地面積は5年前から18万5000haも減り、農地の遊休化が進んでいるのだが、そういうことは伝えない。
不審に思って調べたら、農林水産省が記者会見やプレスリリースでそのように説明していた。せっかくセンサスをまとめても、その結果を読み解くセンシティビティー(感度)が鈍ったのでは意味がない。あるいは厳しい現実から目をそらせたいのか。どちらにしても心配だ。
(飯舘村地域おこし協力隊/農中総研・客員研究員)
日本農民新聞 2025年12月25日号掲載


