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日本農民新聞 2019年6月5日号

2019年6月5日

このひと

わがJAにおける旅行事業の位置づけ

 

JAぎふ
代表理事組合長

櫻井宏 氏

 

コミュニケーションツールとして
組合員・地域住民との接点づくりさらに深化を

 

 (株)農協観光は、5月21日、令和元年度「JA観光推進協議会全国会議」を開催し、平成30年度に旅行や各種イベント等を通じて地域コミュニティの活性化に貢献し、優れた事業実績をおさめたJAを表彰した。最優秀賞を受賞した岐阜県JAぎふ・櫻井宏代表理事組合長に、同JAにおける旅行事業の取り組みを聞いた。


「1支店1企画」を徹底

優績JA最優秀賞受賞の感想は?

 旅行事業の取扱い実績が、計画対比・前年伸長率とも目標を達成し、特に企画旅行実績の伸長率が顕著であったことが、受賞理由となったと聞いている。
岐阜県下では、JA観光推進協議会の決議にもとづいて県下統一企画と、JA1支店1ふれあい企画旅行を実施している。当JAでも規模の大小はあるものの54支店がそれぞれ支店ごとの企画を実施した。また、昨年度は当JAの合併10周年にあたり、旅行事業の主管部署である組織部を中心に、女性組織や合併記念事業を軸に旅行事業に取り組んだことも、数字を大きく伸ばした背景となっている。
 JAの旅行事業にご理解をいただき、参加してくださった組合員・利用者のみなさまに改めて御礼を申し上げるとともに、旅行事業の担当者や各支店長はじめ支店職員に心から感謝したい。

 

ふれあいの機会増やす一要素

JAにおける旅行事業の位置づけは?

 当JAは、岐阜市・羽島市・各務原市・山県市・瑞穂市・本巣市・笠松町・岐南町・北方町を事業区域とし、組合員は正・准合わせて10万3千人を越える。
管内の半分は都市型地域で准組合員が多く、農村地帯ではとくに水田中心の地帯で担い手への農地集積が進み、“土地持ち非農家”が増えており、JAとのつながりが次第に希薄になりつつある。世代交代も進み都市部ほど次世代との接点づくりが難しくなっている。そうした彼らに“JAの応援団”“JAのシンパ”になってもらわなければ、「地域になくてはならないJA」になり得ない。
 平成30年度は、3か年計画の最終年度として「農業者の所得増大の実現」「総合性の発揮による地域の活性化」「組合員と利用に信頼される経営基盤の確立」の3つの基本目標に向けた取り組みを実践してきた。特に地域活性化の取組のなかで、旅行事業は組合員・地域住民とのコミュンケーションツール、ふれあいの機会を増やす要素の一つとして力を入れてきた。

 

求められる多様なバリエーションで

旅行事業の体制と企画内容は?

 主管部門の組織部生活ふれあい課に2名の兼任担当者をおき、農協観光のJAぎふ担当5名と連携しながら、他部署や各支店との連携しJA全体で取り組んでいる。
 各支店では、支店長が中心となり農協観光担当者のアドバイスのもと、管轄地域の組合員や住民のニーズを把握しながら旅行企画を検討・策定。支店の渉外担当職員が募集の声かけにあたっている。複数支店が合同で行う企画もある。これらを含め昨年は合計で80企画を実施した。通年企画のため同じような行先にならないなど工夫している。年金受給者層を対象に考えたグルメツアーなどは好評な企画のひとつである。
 岐阜県のJA観光推進協議会が実施する年間3本の統一キャンペーン企画にも積極的に参加している。昨年度は、南九州、ハワイ、北海道の3企画に、それぞれ37名、62名、19名が参加した。
 当JAの独自企画としての富山旅行、香港旅行は、女性組織担当部署の生活ふれあい課が、女性部員の意向をくみ企画したもので、富山280名、香港90名に参加いただいた。活発な女性組織の参画が事業に大きく貢献している。
 当然ながら、地域のニーズにフィットした企画の評価が高い。多様な旅行形態を駆使できる今の世の中、企画内容にいかにバリエーションを持たせるかは難しい。旅行後の感想や意見などを小まめに聴き取り、次の企画に意欲的に取り組んでいる。
 今年2月には、組合員全戸訪問を実施し、声を聴くことと併せて積極的に情報提供を行ったが、そこでの意見や意思を十分に反映した事業展開に結び付けていきたい。

 

ポイント還元で観劇旅行も

観劇等の招待旅行にも力を入れているそうだが。

 「みのっ太deポイント旅行」として年2回実施している。「みのっ太deポイント」は、毎年3月時点の組合員の取引内容に応じて、観劇等への招待やカタログギフトによる粗品を進呈する組合員への利益還元企画で、カタログギフトのメニューでは「寄付」のメニューも設けて、県下の“こども食堂”への支援なども行っている。
 昨年度の観劇は、7月に名古屋・御園座の舟木一夫ショーに約8000名、11月には初めて宝塚劇場を貸切った雪組の「ファントム」に約2000名を招待した。特に宝塚貸切公演については、参加者アンケートでも非常に好評で「またやってもらいたい」との意見が多数あったため、今年度以降の実施も検討している。
 また合併10周年記念企画としては、金融部門で「島津亜矢歌謡ショー」を長良川国際会議場で開き、抽選で6000名を招待した。さらに役職員交流と家族への感謝企画として、ユニバーサルスタジオジャパンでイベント実施した。総代会では林修氏の記念講演、准組合員を主体とした農業の応援団(食べて応援・作って応援)企画の一環として東国原英夫氏の講演会も開催した。

 

JAが中心に地域住民の輪ひろげる

旅行事業がJA事業に果たす役割を。

 正組合員・准組合員、老若男女が区別なく参加できるのが旅行事業だ。JAと組合員・利用者そして組合員・利用者同士のコミュニケ-ションが生まれ、旅行をきっかけに新しいグループが生まれたりもする。
 JAが中心になって地域住民の輪が広がっていく、地域のみなさんの心のゆとりをJAが提供する。旅行事業を媒体にそうした姿が描いていければ幸いだ。組合員・地域住民とのコミュニケーションツールとして、旅行事業を拡大・深化させ、JA事業のさらなる発展に寄与させたい。


〈本号の主な内容〉

■このひと JAぎふ 代表理事組合長 櫻井宏 氏
 わがJAにおける旅行事業の位置づけ

■令和元年度 JA観光推進協議会全国会議開く=農協観光
 第28回JA全国大会決議に即したJA観光事業に向けて

■6月1日は世界牛乳の日 6月は牛乳月間

■2019年度 農薬危害防止・安全防除運動 展開中
 農林水産省 農薬対策室長 石岡知洋 氏
 農薬工業会 安全対策委員長 白岩豊 氏
 JA全農 耕種資材部長 冨田健司 氏
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■「アグベンチャーラボ」開設
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