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日本農民新聞 2024年5月16日号

2024年5月16日

アングル

 

JA共済事業のこれから

 

JA共済連

経営管理委員会会長
青江伯夫 氏

 

 JA共済連は、5月16日に「令和5年度JA共済優績組合表彰式」を開催し、組合員・利用者に〝寄り添った〟活動を実践し、普及推進で優秀な成績を挙げたJAを表彰する。これに先立ち、JA共済事業をめぐる環境と、普及推進の成果を踏まえたこれからの共済事業のあり方への思いを、青江伯夫経営管理委員会会長に聞いた。


 

 はじめに、元日に発生した能登半島地震によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞いを申しあげます。

 復旧・復興に向けて、多くの取組みが進められているところですが、避難者をはじめ、いまだ多くの方々が不自由な生活を余儀なくされている状況が続いています。そうした中にあって、JA共済事業関係者の皆さまには、迅速な損害調査・共済金の支払対応に組織一丸となって取組んでいただいていることに、感謝申しあげます。

 引き続き、被害を受けられた組合員・利用者の皆様に対し、一日も早く安心と共済金をお届けできるよう、JAと一体となり事業の総力をあげて取組んでまいります。

 

厳しい環境のなかで

令和5年度事業を振り返って。

 令和5年度は、改正監督指針や規制改革実施計画への対応など、いまだかつてない厳しい環境下での事業運営となりました。JA共済事業がはじまり70年以上が経過し、この間の環境変化を含めてもう一度足元の課題を見直す契機となった年度とも言えます。令和6年度は、JA共済のこれからを見据えて、新たなJA共済のスタートにふさわしい年にしていく所存です。

 令和5年度の普及推進活動については、〔「対面」と「非対面」が融合した全契約者・組合員への活動の実践〕、〔生命保障を中心とした「ひと・いえ・くるま・農業」の万全な保障提供〕、〔全契約者・組合員への活動に向けたLA・スマサポ体制・育成体制の整備〕、〔各種施策の取組促進に向けたデジタル技術等の活用〕の4つの重点取組事項に、系統一丸となって取組んでいただきました。

 様々な逆風の中での厳しい一年でしたが、そうした中にあっても、新仕組みのご案内や満期継続に向けたアプローチを着実に実施いただいた結果、生命万一基盤実績は前年を上回る挙績となり、自動車共済の推進総合実績は、市場が縮小する中にあって、同様に前年を上回る挙績となりました。

 また、令和5年度にお支払いした共済金は、満期共済金・事故共済金等をあわせて3兆5868億円となり、全国の組合員・利用者の皆さまに安心をお届けすることができました。

 ここに、令和5年度優績表彰を受賞された組合をはじめ、系統役職員の皆さま方のご尽力に対し、あらためて感謝と敬意を表します。

 

組合員・利用者の利益を最優先して

6年度事業のポイントは。

 JA共済は、大きな環境変化のなかにあっても、変わらぬ「安心」を提供し続け、「農」や「くらし」の未来に向けて、地域とともに支えていくことを目指し、「新たな時代に、変わらぬ安心を ~地域とともに、農とくらしの未来を支えるJA共済~」をJA共済3か年計画のスローガンに掲げ、取組みを進めています。

 令和6年度は、JA共済3か年計画の最終年度にあたりますが、次期3か年、さらにはその先に繋げる事業基盤の再構築に向けて、共済事業体制総点検運動を通じて把握した様々な課題に対する具体策を検討し、着実に実践していかなくてはなりません。

 加えて、新たな生活様式の浸透による組合員・利用者の生活スタイルの変化や、共済事業体制の変化などを踏まえ、役職員一人ひとりが、組合員・利用者の利益を最優先して行動する意識をより一層高めて業務を行う必要があります。

 そのため、以下の3つの重点取組事項を掲げ取組みを進めてまいります。
1.全契約者・組合員への〝寄り添う〟活動の展開を通じた保障充足
2.組合員・利用者の信頼と期待に応えるための態勢づくり
3.社会的責任を果たすための信頼性・健全性の強化

 重点取組事項1つめは、組合員・利用者一人ひとりに寄り添った事業活動を行うための関係性の再構築・強化に向けて、組合員・利用者への〝寄り添う〟活動の徹底や、組合員・利用者一人ひとりに応じた保障・サービス等の一体的な提供に取組んでまいります。

 重点取組事項2つめは、組合員・利用者の信頼と期待に応える事業活動を展開するための態勢づくりに向けて、「組合員・利用者本位の業務運営」の浸透・定着に向けた環境整備や、推進者の育成・支援の強化と態勢整備、〝共済事業体制総点検運動〟のさらなる実践・促進、利便性向上・事務負荷軽減に向けた取組強化に取組んでいきます。

 重点取組事項3つめは、社会、組合員・利用者から信頼され続けるため、コンプライアンス・ガバナンス態勢の強化や統合リスク管理態勢の高度化、社会課題解決等への取組み、連合会職員のさらなる育成強化に努めます。

 令和6年度は、これらの取組みをこれまで以上に「組合員・利用者本位」で実践することが重要です。
 組合員・利用者の皆さまへ「安心」「満足」を届けていくという共済事業の使命を果たし続けるために、引き続きJA・連合会が一体となって、日々の推進活動に邁進してまいります。

 

安心のお守りをこれからも

これからのJA共済への思いを。

 我々の共済事業は、人と人との信頼関係があって、はじめて成り立つものであるということを常に忘れてはなりません。

 長年JA共済で活躍されている職員はもちろんのこと、これからのJA共済を担っていく次世代の若手職員においても、共済の専門的な知識を深めていくのみならず、この共済事業の原点に、都度立ち返ることが必要です。しっかりと足元に目を向けながら、職員一丸となって前に進んでいくことが、これからもJA共済が組合員・利用者の皆さまから信頼され続け、安心のお守りをお届けすることに繋がっていきます。

 JA共済の使命は、いかなる事業環境においても、組合員・利用者に対して安心のお守りを届けることです。この使命をしっかりと果たしていくために、令和6年度も邁進してまいります。


 

〈本号の主な内容〉

■アングル
 JA共済事業のこれから
 JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏

■令和5年度 JA共済優績組合表彰 受賞組合決定
 JA共済大賞に JA兵庫六甲(兵庫)・JAさいたま(埼玉)・JAあいち知多(愛知)

■令和6年度 家の光事業の取組み方向とポイント
 (一社)家の光協会 代表理事専務 木下春雄 氏

■‘より広く’‘より深く’地域に根ざしたTACの活動
 JAほくさい 北川辺支店 須賀大輔 氏
 JA鈴鹿 営農部営農指導課 谷口昌志 氏

■クローズアップインタビュー
 (一財)日本米穀商連合会 理事長 山崎政治 氏

蔦谷栄一の異見私見「付帯決議で回避した基本法の抜本改正」

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