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農研機構のGM作物検査法がISO国際規格に収載

2021年9月3日

 農研機構は2日、遺伝子組換え作物の検査法に関して、同機構開発の〝グループ検査法〟がISO国際規格に収載されたと発表した。

 〝グループ検査法〟は、近年普及が進む掛け合わせ(スタック)品種についても正確に混入率を評価できることが特徴であり、今後、同検査法が国際規格に適合した検査法として広く利用されることで、輸入農産物の品質管理や食品表示における信頼性向上が期待できるという。

 遺伝子組換え(GM)作物の本格的な商業栽培開始からすでに25年が経過し、この間GM作物の生産は右肩上がりの増加を続けている。また、その利用にあたっては、日本を含む多くの国や地域では、安全性の評価基準を定め、これに沿った評価を行い、安全性審査の手続を経た旨の公表等がなされたもののみが利用可能になっている。さらに、消費者の選択を保証するため、GM食品表示制度も導入されており、食品表示を担保するためには、信頼のおける検査法が必要となる。

 日本では、2001年のGM食品表示の義務化以降、公定検査法が定められ国内外の多くの機関で検査に利用されてきたが、スタック品種の普及により、従来の検査法では、GM作物の混入率が過大評価(実際の混入率より高く評価)されるという問題が生じていた。その解決策として、農研機構では、スタック品種の混入に影響を受けない〝グループ検査法〟を開発、2016年に公定検査法として採用された。また、GM食品の検査法は国際貿易の場でも利用されることから、2017年、「ISO/食品専門委員会/分子生物指標分析に係る横断的手法分科委員会」に規格案を提出。農研機構が中心となって、ISOにおいて規格化を進め、最終国際規格案投票の結果、同規格案が承認され、GM作物の検査法に関する国際規格(ISO 22753:2021)が、8月27日に発行された。

 今回発行された国際規格には、サブサンプリングに基づく遺伝子組換え作物の定性的な検査結果を統計的に評価する手法に関する用語の定義と、検査・評価などにおける一般要求事項がまとめられたうえ、付属文書に、〝グループ検査法〟が具体的な事例として収載された。

 グループ検査法 工業製品の品質管理などでは、大きな製造ロットから一部を抜き取って検査をすることで、規格に適合しないものの割合を推定する方法が広く利用されている。この方法を遺伝子組換え作物の検査に応用し、一定数の種子を含むグループを検体から規定数取り出して、そのグループ毎に定性的な検査を行い、その陽性グループ数から、統計的に混入率を評価する手法。

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