農水省はこのほど、自民党農林・食料戦略調査会、農林部会合同会議に、「建築物における木材の利用の促進に関する基本方針(案)」を示した。今年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づくもの。同法は、建築物等における木材の利用を促進し、脱炭素社会の実現に資すること等を目的に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正し、法の対象を公共建築物から建築物一般に拡大。また、同法により新たに、農林水産大臣を本部長とする「木材利用促進本部」を農水省に設置することとし、同本部で基本方針を今年10月1日に策定する予定となっている。
基本方針案は「建築物における木材の利用の促進の意義及び基本的方向」「建築物における木材の利用の促進のための施策に関する基本的事項」など6項目で構成。
このうち、「建築物における木材の利用の促進の意義及び基本的方向」では、▼法の基本理念を踏まえて木材の利用を促進、▼非住宅の建築物や中高層建築物の木造化等の促進により、脱炭素社会の実現、地域の経済の活性化等へ大きく貢献、▼建築物における木材利用は、快適な生活空間の形成にも寄与、▼林業・木材産業事業者の建築用木材の安定供給に係る努力義務、であること等を盛り込む予定。
また、「建築物における木材の利用の促進のための施策に関する基本的事項」では、具体的な事項として、▼木造建築物の設計・施工の先進的な技術の普及、人材育成、建築用木材等の安全性に関する情報提供、▼建築物木材利用促進協定制度の積極的な周知、▼公共建築物における率先的な木造化・内装等の木質化、▼安全性の確認を踏まえた建築基準の更なる合理化の検討、▼木材利用促進の日(10月8日)、木材利用促進月間(10月)における重点的な普及啓発・国民運動化、顕著な功績のある者の表彰、を組み入れている。
方針ではこのほか、▼国が整備する公共建築物における木材の利用の目標として、コスト・技術面で困難な場合を除き、原則木造化、▼CLT等の強度又は耐火性に優れた建築用木材の製造技術、製造費用の低廉化に資する技術の開発及び普及、などを示している。