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令和2年度日本型直接支払の実施状況を公表=農水省

2021年9月2日

 農水省は8月31日、令和2年度日本型直接支払(多面的機能支払交付金、中山間地域等直接支払交付金及び環境保全型農業直接支払交付金)の実施状況を取りまとめ、公表した。

 多面的機能支払交付金は、農業・農村が有する多面的機能が適切に維持・発揮されるよう、農業者等により組織された団体が行う地域の共同活動を支援するもの。同交付金の実施状況は以下の通り。

▼農地維持支払交付金(水路、農道等の基礎的な保全活動等への支援)は、令和3年3月末時点で、47都道府県の1443市町村で、2万6233組織が229万820haの農用地を事業計画に位置づけ取り組んでいる。元年度と比較すると、対象組織数は0・99倍、認定農用地面積は1・01倍となる。また、広域活動組織として991組織が活動しており、元年度と比較すると44組織増加した。同交付金による保全管理の対象として位置付けられている施設は、水路約43万km、農道約25万km、ため池約4600か所。

▼資源向上支払交付金(地域資源の質的向上を図る共同活動。水路、農道等の軽微な補修、農村環境の保全活動等を行う組織への支援)は3年3月末時点で、46都道府県の1301市町村において、2万815組織が、204万2052haの農用地を事業計画に位置付け取り組んでいる。農村環境保全の活動内容別の実施件数は、景観形成・生活環境保全の実施(1万8945件)が最も多く、次いで生態系保全(5271件)、水質保全(3707件)と続いている。多面的機能の増進を図る活動の活動内容別の実施件数は、農村環境保全活動の幅広い展開(6462件)が最も多く、次いで農地周りの環境改善活動の強化(5635件)となっている。

▼資源向上支払交付金(施設の長寿命化のための活動。農業用用排水路等の施設の長寿命化のための補修・更新等を行う組織への支援)は、3年3月末時点で、47都道府県の901市町村において1万1116組織が、75万7628haの農用地を事業計画に位置付け取り組んでいる。対象施設数は、水路約3万6千km、農道約1万7千km、ため池約5100か所となっており、2年度は、水路1625km、農道645km、ため池1033か所の施設で補修又は更新を実施。

 中山間地域等直接支払交付金は、平地との農業生産条件の不利を補正するための交付金を交付することにより、農業生産活動等を維持し、多面的機能の確保を図ることを目的とするもの。交付市町村数は元年度比12市町村減の990市町村、協定数は同2028協定減の2万3985協定(うち集落協定は2万3421協定、個別協定564協定)、交付面積は同3・98%減の63万8911haとなった。

 環境保全型農業直接支払交付金は、農業者の組織する団体等が化学肥料及び化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動を支援するもの。実施市町村数は全市町村の49%となる841市町村、実施件数は前年度324件減の3155件、実施面積は同950ha増の8万789haとなっている。

※詳報は日刊アグリ・リサーチに掲載しております。

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