日本有機農業学会を中心に組織された「有機農業研究者会議2021」実行委員会は8月26・27の両日、飯田文化会館(長野県飯田市)を主会場としたオンライン配信方式で「有機農業研究者会議2021」を開催した。有機農業推進法の成立(2006年)を受け、有機農業推進へのさまざまな技術開発の取り組みがなされているが、その情報交流の場が少ない現状を改善していくため、有機農業の試験研究に従事または関心のある人々と有機農業実践者との情報交流の場として、08年から毎年開催しているもの。今回は約220名が参加した。
1日目は、「有機農業技術をどう育て、広めるか:『みどりの食料システム戦略』を契機として」と題し、日本有機農業学会会長・谷口吉光氏を座長に、農水省農産局農業環境対策課・嶋田光雄(『みどりの食料システム戦略』における有機農業推進政策)、農研機構植物防疫研究部門・長坂幸吉(農研機構における有機栽培技術開発への取り組み)、カルフォルニア大サンタクルーズ校・村本穣司(現地レポート:米国カルフォルニア州における有機農業研究と普及活動)、愛知学院大・関根佳恵(EUにおける有機農業技術開発と普及)の4氏による有機農業の技術研究と普及の在り方についての講演が行われた。
また「有機農業技術の組み立て方」をテーマに、農研機構中日本農業研究センター・三浦重典座長のもと、同センター・山内智史(ミニトマトの有機施設栽培体系の開発と現地実証)、栃木県上三川町・川俣文人(稲・麦・大豆を組み合わせた有機輪作体系の実践)、(公財)自然農法国際研究開発センター・岩石真嗣(有機農業に適した品種の開発と普及)の3氏が、有機農業に関する最新技術や実践事例を紹介した。
2日目は、「地域にひろがる有機農業」のテーマで、長野県池田町、飯田市、岐阜県白川町、愛知県名古屋市などからの実践報告、松川町における有機農業と有機給食の取り組みの概要が紹介された。