JAバンク・JFマリンバンク・農林中央金庫は3月31日、郵政民営化委員会から、金融庁長官及び総務大臣に対し㈱ゆうちょ銀行の新規業務等に関する意見が提出(3月23日)されたことを受け、以下の見解を発表した。
令和3年3月23日、郵政民営化委員会から、金融庁長官及び総務大臣に対して、株式会社ゆうちょ銀行の新規業務等に関する意見が提出されました。
私どもはこれまで、間接的な政府出資が残るゆうちょ銀行が新規業務に参入するに当たっては、前提として、まずは完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要であると申しあげてきました。また、そのうえで、個別業務ごとの新規参入の是非については、公正な競争条件の確保、利用者保護、地域との共存等の観点を総合的に検討し、その可否を判断する必要があると主張してまいりました。
今般、郵政民営化委員会が提出した意見は、新規業務等の調査審議において、(1)利用者利便の向上、(2)適正な競争関係、(3)経営状況、(4)業務遂行能力・業務運営態勢、といった観点からの検討を行い、フラット35等の直接取扱いを含む個人向け貸付の「業務を実施する場合の留意事項」として、「特に、今後新たに自ら行うこととなる審査、債権管理・回収等の業務の遂行については、人材の適切な配置、関係部門及び担当職員の間での職務分担や職責の明確化等、的確かつ円滑に業務を処理することができる態勢が確保されていなければならない。」と指摘したうえで、ゆうちょ銀行による新規業務への参入を認める内容となっております。
加えて、「金融庁長官及び総務大臣は、今回申請された業務の開始後においても、ゆうちょ銀行の業務遂行能力・業務運営態勢の実効性が的確に確保され、利用者保護やリスク管理に支障がないよう業務展開が進められていることを継続的に確認する必要がある。」とされております。
私どもは、こうした郵政民営化委員会の指摘を踏まえ、ゆうちょ銀行自身が業務運営態勢を整備するとともに、業務実施後においてもそれらが適切に機能しているか、新規業務のみならず既存業務も含めて顧客本位の業務運営が徹底されるための十分な体制整備がなされているか、関係当局や郵政民営化委員会に継続的にモニタリングいただくことが必要と考えております。
JAバンク・JFマリンバンクは日本全国の農山漁村に広く店舗を展開しており、農業者や漁業者等への金融サービスの提供を通じて、わが国の農林水産業や地域社会・経済を支えております。このため、全国ネットワークを通じて各地域で幅広いサービスを提供している郵便局とは、農林水産業の成長産業化や地域社会の維持・発展に向け、連携・協調できる部分が存在すると考えます。
こうした連携・協調が実を結ぶには、ゆうちょ銀行と私ども民間金融機関が公正な競争条件の下で共存し、安定した地域の金融システムを維持することを通じて、地方経済・地域社会を発展させていくことが重要と認識しておりますので、今回の新規業務への参入に当たっては私どものこれまでの主張および郵政民営化委員会の指摘事項を踏まえ、関係当局において慎重な審議・検討にもとづき、適切な判断が下されることを期待します。