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三菱商事とNTTが食品流通分野からDXサービス提供、共同出資会社設立

2021年3月24日

 三菱商事㈱と日本電信電話㈱(NTT)は23日、食品流通分野からデジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを提供する共同出資会社「㈱インダストリー・ワン」を2021年度に設立すると発表した。

 両社は2019年12月、「DXを必要とする多くの業務プロセスが存在する食品流通分野において、食品小売・メーカー・卸間で分断されている情報や業務プロセスの統合を図ることで、食品バリューチェーン全体の無駄・重複を排除し効率的かつ最適化された食品流通の実現をめざす」とした『産業DX推進に関する業務提携』に合意。今回の共同出資会社の設立はその取組みの一環。

 インダストリー・ワンの設立について三菱商事とNTTは、「双方の強みである産業知見とICT技術を集約し、広くパートナー企業とも連携していきながら、DXの土台づくりからデジタルビジネスの創造までを一貫して実行支援し、価値提供していく」と説明している。資本金は9億円。出資率は三菱商事51%、NTT49%。本社は東京都千代田区に置き、代表者は芹澤亮氏。

 業務提携後、両社では、食品流通分野における食品卸の在庫最適化ソリューションの開発を進めており、既に小売、卸、メーカーの在庫、受発注、需要予測など、企業内や企業間に散在するデータと、気象予測情報等の外部データをデジタル技術でシームレスかつセキュアに連携する基盤を㈱NTTデータと共同開発した。また、エムシーデジタル㈱(三菱商事100%出資のテクノロジーカンパニー)と共に開発した独自AIエンジンを用いた約1万商品を対象とした実証実験では、物流センターの在庫を平均約3割(一部カテゴリでは最大4割)削減し、トレードオフの関係にある欠品率も総じて低下させることに成功したことが確認されたとしている。今後、21年度から、三菱食品㈱が運営する㈱ローソン向け物流センターを対象に同ソリューションの提供をめざしており、同社と共に他企業向けに順次展開する予定。

 なお、三菱商事は、産業DX推進に向け外部企業とも連携し、DXサービスを共同で開発・提供していく方針で、このほど東芝テック㈱、富士通㈱、㈱ラキールと協業を検討することに合意した。

【各社との協業内容】
▼東芝テック…同社が提供する、消費者の再来店を促進するクーポンサービス「テッククーポンデリ」等のリテール向けソリューションを通じて、食品ロスや人手不足といった食品流通業界が抱える社会課題の解決をめざす。
▼富士通…食品卸の発注業務の自動化に資するソリューション構築に向けた検討を行う。食品卸で現在は人手で行われている発注量の決定プロセスを自動化するソリューションを提供することで、オペレーションコストの削減や過剰在庫の削減をめざす。
▼ラキール…業務アプリケーションの開発や運用に必要なツールを備えた、同社の「LaKeel DX」を活用して、食品卸の在庫最適化ソリューションを開発する。

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