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新規水稲用殺虫剤「オーケストラフロアブル」を上市=日本農薬

2021年3月16日

 日本農薬(友井洋介社長)は12日、都内のホテルで記者会見を開き、近年、特に九州地域で問題化している既存剤に抵抗性を持つ海外飛来ウンカ類にも卓効を示す新規水稲用殺虫剤「オーケストラフロアブル」の上市を発表、オンラインでも同時配信した。

 友井社長は冒頭、「弊社は売上高の10%強を継続的に研究開発に投資し、間断なき新規剤の上市に取組んできた。オーケストラフロアブルは、2018年に上市した園芸用殺菌剤パレードに続く水稲用の殺虫剤で、国内はもとよりインド、広くアジア各国で水稲の安定生産に貢献。ピーク時、日本で約10億円、インドで約60億円の販売を目指す」とあいさつした。また、来賓として駐日インド大使館のモナ・カンダール経済商務担当公使と、(一社)日本植物防疫協会の早川泰弘理事長があいさつに立ち、農林水産省大臣官房の松本雅夫審議官(国際)がビデオメッセージを寄せた。

 オーケストラフロアブルの有効成分は同社が独自開発したベンズピリモキサンで、昆虫のエクダイソン(脱皮ホルモン)濃度をかく乱することで脱皮を阻害し、防除効果を示す。新規作用性を有するため、既存剤に抵抗性が発達したウンカ類にも長期間にわたり安定した防除効果を発揮する。一方、ミツバチやクモなどの天敵や有用昆虫に対する影響が小さく、IPM(総合的病害虫・雑草管理)に適合し、哺乳類や水生生物に対する安全性も高い。

 適用は稲のウンカ類幼虫とツマグロヨコバイ幼虫で、1000倍希釈で散布。現在、200倍希釈(散布量25L/10a)、ドローンなど無人航空機用に8倍希釈(同0・8L/10a)の適用拡大を申請中。また、殺虫スペクトラムの拡大を目的に、ウンカ類、コブノメイガおよび紋枯病に卓効を示す本田中期防除の殺虫・殺菌剤オーケストラロムダンモンカットエアー(ベンズピリモキサン、テブフェノジド、フルトラニルの混合剤、登録申請予定)、同粉剤DL(同、申請中)、ウンカ類と斑点米カメムシに卓効を示す本田後期防除の殺虫剤オーケストラスタークルエアー(ベンズピリモキサン、ジノテフランの混合剤、申請中)など混合剤の開発を進めている。

 これまでベンズピリモキサン原体の製造を担う子会社ニチノーインディア(本社ハイデラバード)と協働で性能評価等に取組んできており、同社を中心にグループ会社のビジネスを展開し収益の最大化を目指す。日本での販売開始は5月25日、インドは22年を予定。子会社ニチノーベトナムを通じて、ベトナムでは今年登録申請の予定。とくに薬剤抵抗性の発達が問題となっているアジア各国では、地域ごとに大きく異なる栽培状況に合わせ、きめ細かな防除提案を行っていく。

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