衛星・農業データで栽培の高度化の実証試験を10月から開始
JAXAベンチャーで衛星データを使った土地評価コンサルティングを行う㈱天地人(東京都港区、櫻庭康人代表取締役)、明治大学(大六野耕作学長)、農業資材メーカーの㈱誠和(栃木県下野市、大出祐造代表取締役)は、観測した衛星データと地上環境データを活用し、農業分野で利活用を推進するための実証試験を10月から開始する。この実証は2020年度内閣府事業の「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ活用モデル実証プロジェクト」において採択されたもので、3者の産学連携により、スマート農業技術の更なる高度化と、生産者の所得向上につながる技術の確立をめざす。
昨今、ハウス栽培などの作物の収穫量増加や、品質向上を目的とした、高度な環境制御(温度・CO2・湿度・光・気流速などを管理)の普及が進んでいるがより一層高度化させるため、従来のハウス内センサによるデータ取得だけでなく、人工衛星による様々なデータを活用し、栽培に必要な日射量の分析や、病害虫発生、高温障害、冬季温度、最適雨量など様々なリスクをマップ化して、作りたい作物に応じて最適な条件となる土地を探すことができるように解析を行っていく。
現時点では衛星データと地上観測データに差異が生じると想定し、データ補正・検証をするなどの試験が必要があるとして、【誠和】のハウス内環境測定器「プロファインダークラウド」により地上環境データを取得、【天地人】がデータ解析を実施、【明大農学部野菜園芸学研究室】が栽培を行い、衛星、地上データと植物の生育状況を観察し、相関を得るための実証試験を行って行く方針。
天地人、明大、誠和では、「スマート農業の普及、大企業による農業参入により、トマト、レタス、アスパラガスといった一部作物については生産量を伸ばしているが、その他については軒並み生産量、出荷量、栽培延べ面積が減少傾向にある。新型コロナウイルスの影響により海外からの一次産品の輸入は従来のようにはいかず、国内における生産量を増やしていく必要がある」「スマート農業技術をより高度化させ、同時に容易に使用できるものとし、日本の農業の発展と食料の安定供給を実現していく必要性がある。3者が連携し、それぞれが持つノウハウを結集し、日本農業の発展のために尽力していく」とコメントしている。