新型コロナ契機に日本農業の事業継続計画策定を要請
公益社団法人日本農業法人協会(山田敏之会長)は22日、農水省に「新型コロナウイルス感染症を契機とする『特別政策提言』」を提出した。今後どのような事態が起きても、農産物の安定供給を継続していくために、国が主導して日本農業全体としての事業継続計画(BCP)を策定すること等を求めた。甲斐毅専務が横山紳経営局長に提言書を手渡した。
「特別政策提言」では、①農産物供給システムの維持継続(▼農産物の大口の出荷先である卸売市場・食肉処理施設・食品メーカーなどに感染者が出ても、短時間でその機能を回復できるようなルールを、あらかじめ整備する、▼短時間で機能回復できない場合に、別の出荷先に迅速に出荷できるような仕組みをあらかじめ整備する、等)、②生産資材供給の維持継続(▼生産資材原料の外国における生産・輸出や日本までの海上輸送の状況を常に監視し、問題が生じる恐れが生じた時は、早めに対策を講じる、▼生産資材原料の調達先について、日ごろから多角化を進めておくこと)を要請。それとともに、①及び②は、「農業者サイドだけでできることではない」として国が主導して日本農業全体としてのBCP策定を求めた。また、「農産物の安定供給には、足腰の強い農業構造の確立が必要」であるとして、日本農業の発展への道筋を確かなものとするために「日本農業の将来に向けたプロ農業経営者からの提言」も併せて提出した。
「プロ農業経営者からの提言」は、現場で農業を担う者の立場から、同協会役員、政策提言委員会を中心に議論を行いとりまとめたもの。「農業が若者の将来就きたい職業の第1位となること」を目指して、「基本的考え方」に、▼ここ数年の農政改革の方向(農地の集積・集約化、農業者が自由に経営展開できる環境の整備など)を堅持し、定着発展させていくこと、▼担い手農業者と農水省が意見交換する機会を頻繁に設け、具体的政策課題を迅速に解決すること、を据えた内容。
具体的な重点要請事項として「農地バンクを活用した農地の集積・集約化の徹底推進」「農地の集積・集約化を活かす基盤整備」「農業所得の向上と国際競争力の強化」「農業の継続に必要な外国人等の人材確保」「災害常態化への対応」などが盛り込まれている。