政府は6日、「農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議」を開き、農林水産物・食品の輸出額を2025年に2兆円とする目標を決定した。30年に5兆円とする目標は維持した。また、20年から、農林水産物由来の新たな加工品および少額貨物を、新たに輸出額のカウントに追加する。
今後の取組としては、4月1日に「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」が施行されることに伴い、農水省内に農林水産物・食品輸出本部が設置されることから、①輸出先国との協議の加速化、②輸出向けの施設整備・認定の迅速化、③輸出証明書の申請・発行の一元化、等によって実行計画に基づく取り組みを加速化させるとした。また、GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)によるマッチングやグローバル産地づくり、戦略的なプロモーションを進めるとした。
一方で、品目ごとの課題に応じた生産基盤の強化、販路拡大を強力に進める必要があるとして、①生産基盤の抜本的強化による生産量の拡大(▼青果物…水田からの転換、省力樹形等の導入により生産を拡大、▼畜産物…生産基盤を強化し、和牛を大幅に増頭・増産、▼加工食品…HACCP施設の導入、AIやIoTなどの新技術の活用による省力化・低コスト化、新商品開発により、海外生産に移行することなく、国内で最大限の生産拡大、等)、②魅力発信による販路拡大(▼コメ…海外の日本食レストランやおにぎりビジネス向けに日本産米の魅力をPRし、海外需要を拡大するとともに輸出向けの米の作付を拡大、等)、に取り組む方針。
江藤農相は同日の定例会見で、省内に輸出本部が設置されることについて「まず縦割りの排除(を行いたい)。そして、福島原発にかかわる放射能に関して、日本が10倍の厳しい数値目標をつけているにもかかわらず、輸出できないことは、科学的知見に基づいて道理の通る話ではない。このようなことについて、先頭に立って働きかけを進めていきたい」と述べた。また、30年5兆円の輸出額目標について、「中期目標を達成し、10年後に5兆円を目指すことは、確かに高い目標(かもしれない)。しかし、日本のマーケットが小さくなっていく以上、外にしっかりとしたマーケットを確保し、プロモーションをしていかないと、日本の生産基盤を守れないし、439万7千haの耕地面積も守っていけない。荒廃農地も9万2千haある。これは優良農地として復活させていかなければならない。そういった大きな政策目標を達成するためには、その一助として輸出は大きなきっかけとなるものだ。頑張ってチャレンジしていきたい」と意気込みを語った。