アグロ カネショウ(櫛引博敬社長)は2月27日、都内のホテルで記者会見を開き、新規害虫防除剤「兼商ヨーバル フロアブル」の上市を発表した。櫛引社長は冒頭、「農家が汎用的に、便利に安心して使用できる〝常備薬〟として製品化することができた。本年10月に創立70周年を迎える中、弊社の基幹製品のひとつに育てていきたい」とあいさつした。
兼商ヨーバル フロアブルの有効成分は独バイエル社が創出したジアミド系のテトラニリプロールで、昆虫のリアノジン受容体に作用して筋収縮を引き起こし、速やかに食害を抑制して死に至らしめる。アグロ カネショウは国内の畑作や果樹、水稲を除く園芸分野を対象として2013年開発に着手。約1000件の委託試験を経て本年1月に農薬登録を取得した。
兼商ヨーバル フロアブルは殺虫スペクトルが広く希釈倍数2500~1万倍で、アオムシ、ヨトウムシ、オオタバコガなどのチョウ目害虫やハモグリバエ類に卓効を示すほか、アブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミ類、コガネムシ類など幅広い害虫に高い防除効果を示す。適用作物は野菜、果樹、茶など約30作物におよぶ。多くの作物で収穫前日まで使用でき、作物への安全性が高いため、200倍希釈で葉菜類のセルトレイ灌注、果菜類のポット灌注など育苗期にも使用できる。また水溶性が高く、根から地上部、葉表から葉裏への移行性に優れる。温度による影響が少ないため季節を問わず安定した効果が期待でき、長期残効性や耐雨性にも優れる。
同社は〝どこまでも農家とともに〟の精神による独自のTCA(テクニカル&コマーシャルアドバイザー)活動を展開しており、地域の状況にきめ細かく対応した技術営業を武器に、訪花昆虫への影響や薬剤抵抗性問題に配慮した普及活動を推進。ジアミド系殺虫剤の市場規模約50億円のうち早期にシェア10%の獲得を実現、中長期的には10億円の販売を目指す。販売開始は3月中旬。