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農林水産業・地域の活力創造プランを改訂=政府

2019年12月12日

生産基盤強化に向けた輸出拡大等11項目の施策盛り込む

 政府は10日、農林水産業・地域の活力創造本部を開催し、「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂した。同プランは日本の農林水産業などの政策改革のグランドデザインとしてとりまとめられたもので6回目の改訂となる。今回、農政全般にわたる改革に加えて新たに生産基盤の強化を目的として同本部で決定された政策パッケージ「農業生産基盤強化プログラム」を盛り込んだ。

 地域の活力創造プランでは前記のように強化プログラムを、新項目「農業の生産基盤強化のための新たな政策展開」の形で盛り込んだ。新項目では、「我が国農業は、国民の必要とする食料の安定供給を図るため、食料自給率の向上を目指す中、担い手不足や農地の減少に加え、頻発する自然災害やCSF等の家畜伝染病の発生、農産物貿易をめぐる国際環境の変化など、様々な政策課題に直面している」「今後、我が国農業を持続的に発展させていくためには、海外で高まるニーズを捉え、輸出を更に拡大するとともに、こうした新しい需要にも対応できるよう、中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図り、農業を国際競争や災害にも負けない足腰の強い産業へとしていくことが必要」などとし、「生産基盤の強化を目的とする関連施策を重点的に推進することで、強い農業・農村を構築し、農業者の所得向上を実現する」として、同プログラムに基づく輸出拡大やスマート農業の現場実装などの重点的な取組を組み入れた。具体的には、①輸出促進の司令塔組織立ち上げによる更なる輸出拡大、②肉用牛・酪農生産拡大プロジェクト、③新たな需要に応える園芸作物の生産体制強化、④水田農業における高収益作物等への転換、⑤スマート農林水産業の現場実装とデジタル政策の推進、⑥農林水産業に新たに就業する者のすそ野の拡大と定着の促進、⑦棚田を含む中山間地域の基盤整備と活性化、⑧食品産業・ベンチャー企業等との連携強化、⑨人手不足にも対応した食品流通の合理化、⑩激甚化する自然災害への対応の強化、⑪CSF・ASFなど家畜疾病対策の強化、の11項目。

 創造プランではこのほか、6次産業化に関わる展開施策の部分から、「農林漁業成長産業化ファンド(A―FIVE)出資案件の形成促進」を削除した。政府によれば「A―FIVEについては見直しの検討を行い、年内に結論を出すことにしている。結論が出ていない中での記述は適切ではないことから削除した」と説明している。

 具体的施策における主な農業分野の改訂部分は以下の通り。

 ▼農林水産物・食品の輸出促進…輸出先国による食品安全等の規制等に対応するため、農林水産省に農林水産大臣を本部長とする『農林水産物・食品輸出本部』を設置し、輸出先国との協議、輸出を円滑化するための施設の認定、輸出のための取組を行う事業者の支援等を、政府が一体となって行う
 ▼国内外の需要の取り込みの前提となる食の安全と消費者の信頼の確保…地域や農場における衛生管理の徹底、ASF等の病原体を持ち込ませないための輸出入検疫の強化、野生動物対策の強化等の課題に対応するため、法制度の整備を進める
 ▼新品種・新技術の開発・普及及び知的財産の総合的な活用…○我が国で開発された優良な植物新品種について、海外における品種登録(育成者権取得)を進めるとともに、海外における適切な権利行使を促進、○優良品種の海外流出の防止に向け、育成者権者が付した国内利用限定等の条件に反した行為を制限できる仕組みや、育成者権者の許諾に基づかない登録品種の増殖を制限する仕組みの創設等を行うため、法制度の整備を進める、○和牛遺伝資源の適正な流通管理及び知的財産的価値の保護の強化に向け、家畜人工授精用精液・受精卵の流通等に関する規制の強化、家畜人工授精所の稼働実態を適切に把握する仕組みの創設等を行うため、法制度の整備を進める
 ▼企業を含む地域の関係者と連携した畜産クラスターの構築支援、6次産業化・輸出促進のための生乳取引の多様化等による酪農家の創意工夫に応える環境整備…畜舎等について、利用の実態に応じた安全基準、安全基準の執行体制等を検討し、建築基準法の適用の対象から除外する特別法を整備することにより、生産コストを低減
 ▼生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し…肥料の原料管理制度の導入や表示基準の整備等による品質確保を進めるとともに、肥料の配合に関する規制を見直すことにより、土づくり等に役立つ堆肥や産業副産物の活用を促進する
 ▼福祉、教育、観光、まちづくりと連携した都市と農山漁村の交流等の推進による魅力ある農山漁村づくり…農家レストランを農用地区域内に設置できる制度を全国展開

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