令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会
第5回JA営農・経済フォーラム(東日本地区 2019年8月29~30日)
JAの実践事例報告より
営農部部長 稲田浩幸 氏
えだまめで全国初のJGAP認証を取得
えだまめは、大麦や大豆等の転作基幹作物に加え、平成17年より作付けを推進。大豆の栽培技術や作業機械の有効活用が可能で水稲との作業競合が少ないことから、当農協の1億円産地づくりの戦略品目に位置づけている。えだまめ部会は現在、23経営体が31・5㏊を栽培し「富山ブラック」のブランド5447万2千円を販売している。29年1月、販路拡大と産地の品質管理、農家の安全性確保のため、部会としてGAP認証を取得することとし、先進地視察研修等を経て事務局を立ち上げ、4月から取得に向けた活動を開始した。
全農家を訪問し意見等を聞き取り個別相談に応じて改善活動をフォロー、優良農場の現地研修でイメージを作ってもらい、農家同士で得意分野を引き出し共通の不適合には講習会を行った。12月には全農家がJGAP認証の同意書を提出し合意形成に至った。
団体認証は、農場管理の共同化・省力化・効率化や品質管理体制の統一化、事務負担や審査認証等の費用軽減等のメリットがある。農協内ではGAP指導員3名を育成し指導体制を整備。関係機関と役割分担し活動の効率化を図った。また、JAグループGAP支援事業を活用し、知識と経験が豊富なアドバイザーから延べ7回にわたり指導を受けた。
こうして30年9月、県内初のJGAP団体認証を取得した。工夫点など農家間で情報交換し改善レベルが向上し、農家自身によるリスク管理対策の取り組み等、自発的な改善活動も進んだ。一番大きなメリットは農家の栽培意欲の向上で、今年度は37㏊に増加し販売額1億円も視野に入るようになった。
認証取得を契機に新たな販路の開拓に取り組みたいし、東京オリパラへの食材供給を実現したい。GAPの定着による経営の持続的改善を支援し、他品目へのGAPの取り組みを波及したい。
このほか、もみ殻の灰をケイ酸肥料にする研究にも産学官連携で取り組み、肥料効果を確認し30年には低燃焼もみ殻炉を設置。燃焼時の排熱は園芸ハウスの暖房に利用し、2022年には販売を目標において地域循環型農業の確立をめざしている。
(日本農民新聞 2019年9月25日号掲載)