令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会
第5回JA営農・経済フォーラム(東日本地区 2019年8月29~30日)
JAの実践事例報告より
経営管理委員会会長 鈴木和俊 氏
営農アドバイザー制と購買事業革新で
平成17年度からスタートした営農事業再興基本計画は、組合員の期待や要望に応えて農業生産を拡大し、販売高・生産資材供給高を伸ばし、営農事業で利益を出すことを目標とした。出向く体制による指導力の強化と生産資材を供給へ「営農アドバイザー制」を創設。51人が担い手を絞り濃密な支援を行う。販売高2千万円以上を定期訪問農家と位置づけ月2回、未満は月1回の訪問、生産数量と肥料農薬供給高の各年5%アップを目標とした。販売担当部署を専門化。特販課を設け特定実需、契約、買取販売に取り組んだ。出荷物流会社を集約し運賃引下げを実現した。地産地消課を設置しファーマーズマーケットを充実強化、30年度4店計23億円の売上となっている。
21年度からは購買事業革新をスタートさせ、競合他社に負けない生産資材価格引下げの実現、生産資材購買事業の黒字化を目指した。本店に仕入課を設置し仕入れ機能を集約・一元化した。運送・倉庫業務を一括・一元的に行う物流センターを設置し物流業務をアウトソーシング。予約配送に加え当用戸配送のシステムも稼働させた。購買店舗は54店舗から基幹店舗13店舗のみに集約し、価格は予約〈店舗〉当用配達の3本立てとした。23年度は加重平均で約3%の先行値下げを実施。競合他社とは店頭価格で6~7勝となっているが、生産資材購買事業は未だに黒字にできていない。原因は粗利が取れないこと。
農業所得増大への更なる取組みへ、23年度から営農・信用部門の連携による農業経営支援に取り組み農業融資額が大幅に増加した。26年度からは、営農アドバイザーが1人当たり5軒を選定し3年間集中的に指導・支援し、3年後に「農業所得30%アップ」する取組みを始め、第1次では145軒の支援農家の55・2%が達成した。「農業振興及び担い手支援事業」も始め、規模や経営拡大を指向する農家に、年2億円、3か年6億円以内の独自の助成措置を講じた。29年度からの第2次では29年度2億円、30年度~令和元年度3億円、計8億円以内の事業とし、30年度までで、2885件、9億69百万円を助成した。
(日本農民新聞 2019年9月25日号掲載)