〈本号の主な内容〉
■JA旅行事業 令和7年度優績JA最優秀賞を受賞して
旅行事業によるJA・組合員とのつながり
京都府 JA京都やましろ
代表理事組合長 十川洋美 氏
■令和8年度 JA観光推進協議会全国会議
㈱農協観光
■新たなJA支援
JA香川県における 生産振興支援の取組事例
■JA全農 令和8年度事業のポイント
JA全農 耕種総合対策部 鈴木富隆 部長
JA全農 耕種資材部 住田明子 部長

JA旅行事業
令和7年度優績JA最優秀賞を受賞して
旅行事業によるJA・組合員とのつながり
京都府
JA京都やましろ
代表理事組合長 十川洋美 氏
㈱農協観光は5月27日に開催した令和8年度JA観光推進協議会全国会議において、7年度に取扱高実績などの評価ポイントの合計点で上位のJA・組合員組織を「優績JA」として表彰した。最優秀賞を受賞したJA京都やましろ(京都府)の十川洋美代表理事組合長に、旅行事業にかける思いや取組みを聞いた。
組合員に感謝の気持ちを
込めた旅行事業を
■最優秀賞受賞の感想は。
当JAは、京都府南部(山城地域)の12市町村で活動している。宇治川、木津川が貫流するのどかな地帯で、丘陵地には宇治茶を生産する茶畑が広がっている。特に宇治茶は当JAのブランド抹茶「抹濃」(まっこい)をはじめとしてインバウンドの影響で世界的な大ブームとなり、昨年度は過去最高の売上を記録した。
当JAは2025年に合併30周年を迎えた。組合員に感謝の気持ちを示し、また組合員の結集を深めることを目的に、組合員を対象とした感謝の集いや様々な旅行企画を実施した。旅行事業を大切な事業として位置づけて展開したこと、宇治茶等の事業が増収増益になったことが多くの組合員の旅行参加につながり、今回の表彰にも結びついたと感じている。
参加していただいた組合員の笑顔に出会えることができ、役職員の結束力も強まった。観光という「非日常」が組合員との関係を深め、職員のやる気や自信につながったと感じている。観光を通じた組合員と役職員のチームビルディングが上手くできたと思う。
「おもてなし」で
組織基盤強化につなげる
■旅行事業の具体的な取組みは。
合併30周年という大きな節目に、「JA京都やましろ合併30周年記念国内謝恩企画」と題し、JAから参加者への助成金として1万円を提供し、多くの参加を得た。そして役員が現場の最前線に立ち、組合員一人ひとりに対話を重ねる「おもてなし」を実践した。
国内の行先については、2泊3日の黒部アルペンルートにした。支店ごとに設定日と目標人員を設け、役職員一丸となって募集に努めた結果、初めてのお客様を含む480名に申込みいただくことができた。旅行には役員も同行し率先して「おもてなし」を行うことで、JAと組合員との交流の場を創出し、組織基盤強化にもつなげることができた。参加者が増加したことで、職員も自信を深めた。
12月には合併30周年記念海外企画として、7日間のトルコ・ギリシャツアーを実施。職員の地道な努力が報われ、リピートの方、海外の企画旅行が初めての方など50名が参加した。旅行日数が長いほど、組合員と職員との関係は親密になり、今後のJA事業にプラスになることを職員が肌で感じる良い機会となった。
この他、支店ではJAくらしの活動を企画し、今年の企画本数は全支店合計で約150本実施している。本店では企画旅行や積立てによる海外旅行と併せて、支店長企画旅行も展開。女性部や年金友の会の旅行も本店・支店企画で実施している。
このように、JAくらしの活動や生活文化活動を組合員とのコミュニケーションの場として大切にしたことが、組合員の結集につながっているのではないか。
次の世代につながる
寄り添った旅行事業を
■旅行事業を組合員との関係づくりにどう役立てているか。
農協観光の旅行は、次の世代へつなげることができるのが特徴だと思う。農協観光の旅行に行っていた世代を見て、「JAだったら安心で行きやすい」と思って実際に次の世代にも旅行へ行ってもらうことができるのが魅力だと感じている。
役職員が海外まで同行し、集落の集荷場や参加者宅までの送り迎えも行っている。このような寄り添ったサービスができたことで、組合員と非常に親しくなっていくことができたと思う。
最優秀賞をいただくことができたのも、組合員との関係をしっかりと構築することができたからではないか。ある意味、旅行事業はJAへの結集力を測るバロメーターだと考えている。
旅行事業だけではない
活動の展開を
■今後の展開は。
地域の基幹的農業従事者が、30年前と比べると44%に減少した。このような現状において、宇治茶と京野菜の生産振興の取組みはもちろん進めていくが、JA事業を通じ地域共生社会をどのようにつくっていくか。地域住民や組合員がどのようにしたらJAに参画してもらえるかが大きな課題だと感じている。
現在展開しているのは、女性部への加入促進と、女性部に加入したメンバーを対象とした組合員への加入促進。女性部からJAの組織に一歩踏み入れてもらえるよう、JA直売所では女性部会員カード「わくわくカード」を使用することで5%の割引などを行っている。
その他、地域の商店街などと提携し、様々な優待やサービス、割引の実施などいろいろな特典を付与している。
こうしたことも効果を上げて、1年間で約6000人の女性部員を集めることができた。
地域の基幹的農業従事者が向こう10カ年で更に半分以下になるという統計も出ている中で、メンバー増加につながる取組みをしなければ、地域におけるJAの位置づけはますます難しくなる。旅行事業はもちろん、女性によるグループ活動やサークル活動などをサポートし、JAの組織基盤を広げていくことで、5年後10年後にも「あって良かったJA。必要とされるJA。」が確立できるのではないか。
宇治茶の業績の向上で、農業後継者の増加傾向が出てきている。近年の夏の猛暑で京野菜の生産量も落ちているが、高温対策や販売対応を一層強化し、地域農業を拡大していかなければならない。農業が元気になれば、旅行事業をはじめJA各事業をさらに拡大していくことができると考える。



