日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2026年5月25日号

2026年5月25日

〈本号の主な内容〉

■このひと
 JA全青協の役割と展開
 全国農協青年組織協議会
 (JA全青協)
 会長
 星敬介 氏

■JA全農 令和8年度事業のポイント
 フードマーケット事業
 JA全農
 フードマーケット事業部
 太田純 部長

■かお
 アグリビジネス投資育成㈱ 取締役代表執行役社長に就任した
 荒川正邦 氏

行友弥の食農再論「ナシ農家の憂うつ」


 

このひと

 

JA全青協の役割と展開

 

全国農協青年組織協議会
(JA全青協)
会長

星敬介 氏

 

 全国農協青年組織協議会(JA全青協)が5月14日に開催した通常総会で、令和8年度会長に星敬介氏(JA全青協副会長、福島県農協青年連盟第31代委員長)が就任した。星新会長に抱負やJA青年組織活動に対する思いを聞いた。

 

農業を通じ次の世代につなげる青年組織へ

新会長としての抱負は。

 JA青年組織綱領では、「農業を通じて環境・文化・教育の活動を行い、地域社会に貢献する」ことを青年組織が取組むべきこととして規定している。現場で取組む青年組織に参加する農業者の声を吸い上げることが、会長としての責務だと感じている。「組織活動の実践により盟友の結束力を高め、明日の担い手を育成する」ともある通り、次の担い手を育て、未来につなげることも大きな使命だ。

 「国民との相互理解を図り、食と農の価値を高める責任ある政策提言を行う」とも書かれている。その中でも食農教育は、伝統的に取組んできた大事なものだ。これまでは低年齢層の子どもが主な対象だったが、今後は中学生や高校生、大学生といった世代にも、より一層焦点を当てていきたいと考えている。

 食農教育を通じ、農業を職業の一つとして捉える年代を広げることで、自ら積極的に農業に関わる若者を育成し、農業を次の世代や未来へつなげていきたい。

 

コスト指標を歯止めに農業所得の安定を

これまでの活動を振り返り、農業情勢や農政で注目しているポイントは。

 一昨年のJA全青協理事の時は、畜産・酪農部会の座長を務めた。生乳需給調整や南米のメルコスールからの牛肉輸入解禁への対応を中心に意見をまとめ、農林水産省や国会議員に要請した。勉強し、皆で知恵を出し合って要請したことは、自分の成長において大きな経験だったと感じている。

 4月には食料システム法が施行され、米穀等の5品目について、コスト指標を活用した制度を運用するよう定められた。実際にコスト指標がきちんと機能していくか、注視しなければいけない。

 コスト指標の議論は、生産費に対し農産物の価格が安い状況を受けて始まったものだ。しかし昨年は米の価格が高騰し、現在は下落している。価格の高騰や暴落にも、コスト指標が歯止めとして機能しなければならないと痛感している。

 特に青果物については3~4割でコスト指標が適用された相対取引が行われるが、6割を占めると言われる市場取引にどこまでコスト指標が影響力を持つか注目しているところだ。というのも、市場取引は需給バランスで価格が決まるためだ。これから川上から川下までコスト指標を意識して取組むようになるのか、従来と同様に需給バランスをもとに価格が形成されるのか。それは食料システム法の運用如何であり、瀬戸際にいると感じている。

 適正な価格形成が実現できるかによって、農業所得が変わってくる。農家が一定の所得を得ることができれば、地域に暮らすことができる。さらには農村の維持にもつながるのではないかと考える。

 

ファンと盟友を増やし組織を支える力に

今年度の取組み方向は。

 最も核心となる活動は、農業のファンづくり。JAと消費者の間に位置する青年組織が農業の魅力や食べ物の大切さを伝え、ファンを広げることこそが活動の根幹だと考えている。

 盟友の拡大はこれからも取組みを続けていく。個人だけでは発言力が弱くとも、個人が集まれば強いものになる。協同の精神で仲間である盟友を増やしていけば、発言力が高まり、様々な政策提言にもつながっていくと思う。

 農業人口が減り全国のJAの力も弱まりかねない中、いずれ青年組織は次の世代のJAを支える立場になる。全青協は部会で議論するテーマの一つにJA組織改革を挙げている。部会の中で様々な問題点を出し合い、JAグループに強力な要請をしたいと思っている。

 

フレッシュな意見を経営層へ届けるために

次のJA全国大会に向け、どのような期待を寄せているか。

 青年組織に属する世代をJAの経営陣にもっと取り込んでいただきたい。理事会や経営管理委員会などに青年部等の若い世代を取り込み、議論を活発にしていくことが必要不可欠だと感じている。

 現状では、理事会はある程度結論が出た議論を最終的に裁決する場になっているように思う。理事会で活発に意見を出し合って決めることが、経営の発展につながり、農業者のためにもなるのではないか。青年組織や女性組織のフレッシュな現場目線の意見を取り入れていかなければ、今後のJAの発展は難しいと危惧している。

 青年組織としても、若い世代を経営層に取り込んでもらえるよう要請等を通じて訴えていきたい。

 

1+1=3以上となる綿密な連携を

女性組織との連携について。

 青年組織と女性組織はJAグループの両輪とよく表現されるが、女性組織はより消費者目線を持っているのが特徴だと思う。

 青年組織と女性組織が連携して行う活動でも、消費者に近い女性組織だからこそ青年組織では見えない部分を補ってくれる。1+1=2ではなく、3、4、5と増幅するよう、協力して日本の食を支える活動を実践していきたい。

 

JA青年部は最前線にして最後の砦

未来の農業に向けて青年組織としての姿勢は。

 「JA青年部の盟友は最前線にして最後の砦である」は、私が福島県農協青年連盟委員長の時から言っている言葉だ。田畑は荒れ、鳥獣害被害も増え、里が縮小するといった日本の衰退の最前線に青年組織はいる。この力は強大で押し戻すことはなかなか難しく、青年組織の活力も後退傾向に陥らざるを得ない状況だ。

 これを防ぐには、盟友を増やして最前線を押し戻し、豊かな山と里に戻すこと。このせめぎ合いを押し戻す砦として取組みを進めていく。

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