日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

日本農民新聞 2026年5月14日号

2026年5月14日

〈本号の主な内容〉

■アングル
 JA共済事業のこれから
 JA共済連 経営管理委員会会長 青江伯夫 氏

■令和7年度 JA共済優績組合表彰 受賞組合決定
 JA共済大賞に JAいちかわ(千葉)・JAあいち知多(愛知)

■JA全農 令和8年度事業のポイント
 〈営業開発事業〉
 JA全農 営業開発部 安藤浩 部長


 

アングル

 

JA共済事業のこれから

 

JA共済連

経営管理委員会会長
青江伯夫 氏

 

 JA共済連は5月14日、「令和7年度JA共済優績組合表彰式」を開催し、組合員・利用者に寄り添った活動を実践し普及推進で優秀な成績を挙げたJAを表彰する。JA共済事業をめぐる環境と、普及推進の成果を踏まえたこれからの共済事業について、青江伯夫経営管理委員会会長に聞いた。

 

 

 はじめに、組合員・利用者の皆さまには、日頃からJA共済事業へご理解いただいておりますことに、心よりお礼を申しあげます。

 昨年度は、日本各地で大規模な林野火災が発生したほか、地震、台風などの自然災害や、記録的な高温と雨量不足が続き、農業生産、生活に甚大な被害をもたらしました。被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申しあげますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。

 

推進総合目標7年ぶりに達成

令和7年度の普及推進結果を振り返って。

 令和7年度における普及推進活動につきましては、令和7年度から9年度までのJA共済3か年計画の初年度として、「組合員・利用者とともに歩み続けるJA共済~協同の力で広げる安心の輪~」をスローガンに掲げ、系統一丸となって取り組んでいただきました。

 中でも、多様化するニーズを捉えたがん共済をはじめとする仕組改訂等を実施できたことに加え、組合員・利用者本位の考え方のもと、ニーズを踏まえた推進活動を展開したことにより、一人ひとりに応じた最適な保障の提供ができたことは、大きな成果であったと考えています。

 こうした取組みの積み重ねにより、推進総合目標は7年ぶりに全国目標を達成することができました。さらに、事業基盤(新規契約)目標についても、生存保障基盤目標の達成に加え、自動車基盤目標は全県で達成することができました。

 また、令和7年度にお支払いした共済金は、満期共済金・事故共済金等をあわせて3兆5255億円となり、全国の組合員・利用者の皆さまにお役立ていただくことができました。

 ここに、受賞組合をはじめ、系統役職員の皆さま方のご尽力に対し、あらためて感謝と敬意を表します。

 

持続可能な事業推進体制の構築を

JA共済の直面する課題への認識と今後の対応方針は。

 JA共済では、令和7年度から9年度までのJA共済3か年計画において「①保障・サービス提供等の深化」、「②事業推進体制等の再構築」、「③農業・地域社会の持続的発展への貢献」に重点的に取り組んでいくことを掲げています。

 人口減少や高齢化の進展、自然災害の多発など、事業環境が大きく変化する中にあっても、「組合員・利用者本位の事業運営」を基調とした取組みを展開し、組合員・利用者との関係性強化・仲間づくりの実践を通じて、組合員・利用者の豊かなくらしと活力ある地域社会の実現に貢献し続けていくこととしています。

 そのうえで令和7年度を振り返ると、LA(ライフアドバイザー)の対話型の推進活動の実践拡大と仕組改訂を契機として、生命保障を中心に実績は伸長傾向にあります。

 一方、令和8年度は満期を迎える契約が多く、保障切れ・保障不足の防止に向けて、推進活動の機運をいかに維持し、高めていくかが重要と考えます。

 また、農業従事者の減少に加え、日本の人口そのものが減少局面に転じているいま、JA職員数・LA数についても減少傾向が続いており、事業推進体制の立て直しが課題となっています。

 この課題への対応として、AI等のデジタル情報基盤の拡充・活用による効率化や、窓口業務を行うスマサポ(スマイルサポーター)を含めたチームとしての体制確立など、時代の変化に対応した推進体制づくりに取り組み、組合員・利用者一人ひとりに寄り添った保障を継続的に提供していくことが重要です。

 

ニーズを捉え「寄り添う」活動さらに

令和8年度の事業展開について。

 以上のような令和7年度の取組状況を踏まえた課題認識のもと、令和8年度はJA共済3か年計画に掲げる取組事項を着実に遂行する年度と位置づけ、特に注力すべき取組みを明確化したうえで、事業運営を進めていきます。重点取組事項として次の5つを掲げ、取組みを進めてまいります。

 重点取組事項1点目は、【ニーズを捉えた推進活動の浸透・定着】です。LAを中心とした対話型の推進活動の展開強化、資産形成ニーズに応じた提案、満期対策を通じた保障切れ防止を図るとともに、組合員・利用者本位の業務運営の徹底、共済推進コンプライアンスへの対応強化に取り組んでまいります。

 重点取組事項2点目は、【組合員・地域住民との接点づくりと共済事業としての関係性強化】です。JAとJA共済連が連携し、イベントや活動を通じたJAファンづくりを進めるとともに、情報発信と情報収集を一体的に行う広報活動を展開します。あわせて、デジタル情報基盤等を活用し、共済事業としての関係構築・強化を図るとともに、事業や部門の枠を越えた「寄り添う」活動の浸透・定着に取り組みます。

 重点取組事項3点目は、【事業推進体制の再構築の促進】です。JAは、LA・スマサポを中心とする支店一体となった推進体制および協働体制の確立を進めてまいります。JA共済連は、取組事例の展開や情報共有の場の提供を通じてJAの取組みを後押しするとともに、デジタル情報を活用した、より効果的・効率的な推進活動の実現に向け、情報活用機能の強化に取り組んでまいります。

 重点取組事項4点目は、【人・職場づくりの取組促進】です。職員のエンゲージメント向上に向け、職場活性化やチームづくりを徹底するとともに、LA・スマサポ等の個々の課題に応じた活動管理と人材育成を通じて、推進活動の質と量の向上を図ります。

 重点取組事項5点目は、【連合会のさらなる機能発揮】です。各JAの課題解決に向けたサポートの強化や、競争力強化に向けたAI活用を進めるとともに、南海トラフ等の大規模自然災害を見据えた対応力強化に取り組みます。

 

自由闊達な組織に 地域貢献活動にもより力を

今後に向けての思いを。

 本会は令和8年1月31日に創立75周年を迎えました。この節目は、役職員一人ひとりの意識を大きく喚起し、自らの役割を改めて見つめ直すとともに、JA共済が担う役割と「絆」の大切さを実感、共有する機会となりました。もう一度みんなで足元を固めるよい機会になったと思います。

 次なる節目である100周年を見据えて、今一度、JA共済が創業以来大切にしてきた二つの価値を改めて確認し、系統一丸となってその実践を進めていくことが重要であると考えています。

 一つは、共済金のお支払いに象徴される「保障提供」という価値です。そしてもう一つが、地域貢献活動などを通じて掛金を地域やくらしに還元していくという価値です。JA共済はこれら二つの価値を両輪として事業展開してきましたが、いま改めてそのあり方が問われていると感じています。

 保障提供に加え、これまで継続して取り組んできた地域貢献活動についても、より一層力を入れていくことが地域から求められているものと受け止めています。

 AIなどのデジタル技術は推進活動を支える重要な手段ではありますが、共済事業の基本は人と人。血の通った言葉と対応が絶対に必要だということを忘れてはいけないでしょう。そのうえで、自由闊達な組織づくりも進めていきたいと考えています。

 JA共済が、いかなる事業環境においても、将来にわたって組合員・利用者の皆さまの信頼と期待に応え、「安心のお守り」をお届けしていくためにも、引き続き歩みを止めず、JAとJA共済連が一体となって取り組んでまいります。

keyboard_arrow_left トップへ戻る