脱炭素化、農業・食品残さの高付加価値化の取組みで=農林中央金庫
農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は11日、バイオマス原料を用いたグリーン化学品生産技術を提供するGreen Earth Institute㈱(伊原智人代表取締役CEO)に対して、「F&A成長産業化出資枠」(*)を通じた出資を行ったことを明らかにした。
近年、地球温暖化対策として脱化石燃料や温室効果ガスの排出削減が世界的な課題となる中、化学品の原料を従来の石油由来からバイオマス由来にシフトする動きが活発になっている。こうしたなか、Green Earth Instituteは、食料や飼料と競合しない、植物の茎や葉などのバイオマス原料や農業残渣・食品残渣から、エタノールや食品・飼料添加物のアミノ酸などを生産する技術を研究・開発し、バイオマス由来製品の普及・サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に取り組んでいるという。
農林中金では「同社の取組みを通じバイオマス由来製品の普及が進むことで、脱炭素化や廃棄物の削減、海洋汚染の防止につながるものと考えている。今回の出資を契機に、当金庫ネットワークを活かした同社との連携を進め、農業生産や食品製造などの過程で生じる農業残渣・食品残渣の利用および高付加価値化により、農林水産業者や食品製造事業者などの廃棄物処理の課題解決にも貢献していく予定」とコメントしている。
また、今回の出資を通じて、農林水産業を取り巻くサステナビリティの課題である気候変動や食品ロスの削減等の環境・社会課題についても、同社と継続的な連携・対話を行い、「農林水産業と食と地域のくらしを支えるリーディングバンク」として課題解決に貢献していくと説明。「引き続き当金庫は、投融資を通じて環境・社会課題の解決に貢献し、SDGsの実現をはじめとするサステナブル経営を推進していく」としている。
「F&A(Food and Agri)成長産業化出資枠」
農林中金が2016年5月、「農林水産業の成長産業化」への貢献の一環として、農林水産業の高付加価値化・生産性向上のため、系統団体および国内外との企業との協働およびそれを支えるリスクマネーの供給を目的に設定した。